#35 真実
「私も、言わなきゃな」
無言を断ったのは愛佳だった。
そうだ。人間擬きが緑なら、裏切者は――。
「緑茶、もとい緑は知らなかったようだが、私はイロドリのことを知っている」
「私は、イロドリにいたんだ」
そう、愛佳は告白した。
「イロドリは、シキサイ能力者の組織だ。
誰が始めたのかは知らないが、能力者を見つけては仲間に引き入れてるらしい。
私がこの力に目覚めたとき、誰かが見てたらしくてさ。すぐに声がかかったんだ。
あの組織は人をどうにかする技術を訓練させていた。
多分、更に上の組織があるんだろうな。
そのお陰であんなことができた。唆されたのもあるが、自分でやったことだ。責任転嫁はしない。当時はどうかしてた。
君らに止められてすぐに、呼び出されてさ。組織を追い出されたよ。
でも、精神を操れるなら、なんで野放しにしたんだろうな。
痛い目を見せられたとはいえ、記憶はあるんだ。今みたいに情報を渡すことになるだろ」
全貌は見えなかったが、とんでもない組織のようだ。
以前愛佳がしたことは、とても単独犯とは思えない所業だったが、やはり裏に組織があったようだ。
「こないだのことでわかった。イロドリはあのときの私と同じようなことを誰かにやらせてる。
私に止める権利はないけど、それでも話を聞かなきゃ。何か理由があるのかもしれないし」
「亜久里さん。もし、わたくしたちといられないのなら、話してください」
「私も、なんなら出てっていいし」
秘密を明かさせた以上、私は今後の二人や小鳩とのかかわり方を決めなくてはならない。
それを考えていると、二人はこんなことを提案してきた。
「……ちょっと考えさせて」
この日の練習はとても練習というムードではなく、ぎくしゃくしてしまった。




