#34 秘密
久しぶりの登校日、私はひとつ心に決めていた。
「緑ちゃん、何か隠してることない?」
放課後、私は緑に問いかけた。つい先日、小鳩が言ったことの意味を知るために。
「何のことですか」
想定内の返答をする緑に、私は更に問いかけた。
「シミラって何?」
おそらく緑は何か知っている。知っていて黙っていたのだ。愛佳もきっとそうだろう。
「……どこで、その言葉をお聞きになったのですか」
決定的な言葉を放った私に、緑は諦めたように問う。
「……クラスメイトが、人間擬きと裏切者は捨ててイロドリへ来いって」
私は正直に言った。希望が把握していたのだから、緑も知っていておかしくはない。
それに、本当のことを言ってもらうためには、本当のことを話さなければならないとも思ったのだ。
「そうですね……お話ししましょう」
私の思いが通じたのか、そう言うと、緑は私たちに向けて語り始めた。
「シミラというのは人の心の中にいるもう一人の自分です。
マロンさんにもベリーさんにもいます。
……わたくしもシミラです。おそらく、人間擬きとはわたくしのことでしょう。
正気を失った人々が、お二人には別の姿に見えていたようですが、わたくしには元の姿で見えていました。
判別はできています。シキサイに異常が起きますし、シミラの声も聞こえますから。
わたくしが聞いていたのはシミラの声です。ある意味では人の心の声とも捉えられるでしょうか。
次にシキサイ。これは人の心のエネルギーです。正も負もありますが、失われると命にかかわります。
おそらく、これを悪用して事件を起こしていたようですが、元の状態に戻すのにもシキサイを使いました。
……この部のテーマソングは、無自覚の状態でシキサイを操らせているようです。
理由はわかりかねますが、よくないものではなさそうなので様子を見ています。
イロドリについてですが、わたくしはよく知りません。おそらくシキサイ使いの集まりでしょうか。
……わたくしが知っているのはこんなところでしょうか。ご希望に添えましたか」
緑の話が終わった。
なぜ隠していたのか、とか人間じゃなかったのか、とか聞きたいことはたくさんあったが、私は何も言えなかった。




