#25 予兆
今日は体育祭。クラスごとに4チームにわかれて競い合う。
私たちA組は黄色をチームカラーとするイエローホープスに属し、ユニフォームとして黄色の鉢巻と黄色のTシャツを身に着けている。
Tシャツは好きなようにデコってもよく、昨年はあまり大胆にできなかったので、今年は全体にデザインを加えた。
「頑張ろうね!」
「……うん」
私はこの日を楽しみにしていたが、四葉はあまり乗り気でないようだ。
まあ、体育祭って体を動かすのが苦手だと楽しくないかもしれないか。
「綱取り合戦に出場される方は入場ゲートに集合してください」
放送で呼び出されたので、私は入場ゲートへと向かった。
そうして午前中は何事もなく進行していき、昼休憩となった。
私たちは教室へ戻り、昼食を食べることにした。
午後最初の競技は応援合戦。
各チームの応援団がパフォーマンスをする。
応援合戦のトップバッターを務めるのは赤色のレッドブレイズ。
準備が終わってさあ開始、というところで――
――グラウンドの真ん中に怪物が現れた。
悲鳴を上げて生徒や先生たちが逃げていく。
放送の声が落ち着いて避難をするように呼びかけている。
私は状況を確認するために緑を探すことにした。
「四葉!」
ふと隣を見ると四葉が倒れている。
周りを見ると他にも倒れている人がいた。
恐怖で動けなくなったり、面白がったりして逃げずに残っている人もおり、それに伴って先生も何人か残って声をかけている。
「何、これ……」
「亜久里」
「ベリっち!ベリっちじゃないよね!?」
「知らない」
「緑ちゃん」
「緑。何かわかるか?」
「声が聞こえない……」
「どういうこと?」
「中身がありません」
「あなたたちも早く戻りなさい」
私たちが話していると、他の生徒を帰らせたのか、こちらに先生がやってきた。
「ここは任せます」
そう言うと、緑は放送のテントへ向かい、持っていたプレイヤーを使って音楽を流し始めた。
私はこの曲を聴いたことがある。
緑が投稿した曲の一つで、説明文には「体育が苦手な全ての人に捧ぐ」と書いてあったはずだ。
結果を言うと、怪物は消え、倒れていた生徒たちは次々と目を覚まし出した。
「四葉!」
「……亜久里?なんだか夢を見てたような……」
「痛いところはない?」
「大げさだって」
「……よかった」
騒ぎにはなったが、特に被害はなく、少し時間を置いて体育祭は再開した。
その後も特に問題は起きず、体育祭は無事閉幕した。
しかし、事件はまだ終わっていない。そのことにこの時の私は気づいていなかった。




