#24 新生
「そろそろ次の舞台の話をしよう」
新入部員として愛佳を迎えてからしばらく経ったある日の練習前。
私は皆に向けて提案した。
「再来月音鳴で文化祭があるんだけど、出ない?」
「せっかくベリーさんも入ってくださりましたし、参加してもいいかもしれませんね」
「三人でできるの?」
「別に人数の決まりはないし、いけるよ」
いずれにせよ、少なくともこれから半年はこのメンバーでやっていくことになるのだ。
半年後には先輩としてやっていくことになるだろう愛佳には、今からでも舞台に立って場慣れしてもらうに越したことはない。
「反対意見がなかったら、これで決定でいい?」
「どうされますか。ベリーさん」
「……いいよ。どうせ拒否権なんてないだろうし」
そういうわけで、私たちは再来月に隣市の音鳴市で行われる音鳴文化祭に参加することになった。
「じゃあ曲を決めよっか」
基礎練習を終わらせた後、私たちは次の舞台に向けて準備を始めることにした。
何をするにもまずは曲を決めなくては話は始まらない。
私たちは音楽室に置いてある、合唱部が所有している楽譜を引っ張り出して相談することにした。
「持ち時間は十分だって。二、三曲できるかな」
「客層を考えると、幅広く知られている曲がいいですよね。それこそ、先日の文化祭で歌った曲のような」
「とりあえず、一人一曲ずつ選ぼう」
向かい合っていても決まらないので、十五分とってそれぞれ曲を探すことにした。
「……三つに絞ったのはいいけど、ここからどうしよう」
十五分後、全員の提案をまとめたところで、話し合いは行き詰ってしまった。
「そうですね。……静かですが、ベリーさんは何か案はありますか」
「……メドレーにするとか、どう?」
愛佳の提案に私と緑は目を見合わせた。
なぜか一曲ずつ頭から尻尾までやる前提でいたが、別にそんな決まりがあるわけでもない。
こうして話し合いは穏便に解決したのだった。
さて、楽譜はここにあるのでやろうと思えば練習を始められるが、その前にどう繋げるのか考える必要がある。
そういうわけで、この日は文化祭が終わってから行っていた、テーマソングの練習を続けることにした。




