#20 開演
二クラスの劇が終わり、私は体育館を出た。
体育館の裏口で樹と舞音と軽く話し、片付けが終わるのを待つことにする。
先輩に会うのは難しそうなので、この隙に忘れないようにメモに感想を書いておく。
しばらくして、二人と合流した私は、昼食には少し早いが、模擬店を見ることにした。
私たちのクラスは昼からなので、今のうちにお腹に入れておきたい。
「別に私に付き合わなくてもいいのに」
「じきに昼だし、もう食べといてもいいかなって」
「右に同じく」
そういうわけでとりあえず水魚のクラスの焼きそばを食べることにした。
昼にはまだ少し早いが、もう既に混み始めている。
行列に並び、ようやく注文しようとすると、目の前にいたのは水魚だった。
「水魚、受付だったんだ」
「まあね。で、何にする?」
「焼きそば三つください」
「かしこまりましたあ!」
焼きそば三丁、という威勢のいい声は、聞きなじみがないので少し面白い。
私が代表で番号札を受け取り、出来上がるのを待つ。
受け取った焼きそばはソースのいい香りが食欲をそそる。
量もそこそこあったので、いい腹ごしらえになった。
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
のんびり話している途中、そう切り上げて、私は教室に向かった。
教室に着くと、ちょうどいい時間だったらしく、少し早く着いていた何人かが最終チェックをしているところだった。
しばらくすると大体揃ったので、遅刻組が来るまで各自練習をすることになった。
私含む出演者組はとりあえず声出しから始めることになった。
屋内は控えめになるとはいえ十分騒がしいので、あまり気にせず声が出せる。
体育館への集合時間少し前になってようやく全員が揃ったので、簡単にリハーサルをしてから集合場所へと向かった。
衣装に着替えたり、道具を運んだり、やることは結構ある。
アナウンスが聞こえる。
「続きまして、2年A組による『ネイロ~音と色を巡る旅~』です」
いよいよ開演だ。
歌うことが好きな少女、音色は最近歌うことが楽しくなくなっていた。
そんなある日、ひょんなことから魔法の国にたどり着く。
魔法の国は色を奪われたことで魔法が使えなくなっていた。
ネイロは歌で世界に色を取り戻しながら、歌うことの楽しさを再発見していく。
というのがあらすじで、私はネイロが最初に出会って共に旅をする妖精を演じている。
色の番人は当初七人いる設定だったが、尺の都合で省略されて三人になった。
最終的にネイロと色の番人の四人で、色を奪った犯人である悪魔と戦い、歌の力で封印する。
ネイロは元いた世界に帰り、日常に戻っていく。
そんな劇がつつがなく終わり、私は友人に感想を聞いていた。
「どうやった?」
「よかったよ」
「主役の子、歌うまいね」
「それ私服?」
「ううん。他の子に借りた」
今日はもう特に予定はない。
私たちは四人で展示を見て回ることにした。
こうして文化祭一日目は無事に終わった。
二日目も頑張ろう。




