表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リナの冒険ノート  作者: リナ
リナの日
210/221

リナ、友達の涙と本当の勇気

**20xx年9月15日(金曜日) 中学2年生**


**朝**


いつもと変わらない金曜日の朝。窓を開けると、秋の爽やかな風が部屋に流れ込んできた。今日で今週も終わり。そう思うと、なんだか少しホッとした。


朝食を食べながら、お母さんが「今日は何か予定ある?」と聞いてきた。「特にないかな。でも親友の美月が最近元気ないから、ちょっと心配なんだ」と答えると、お母さんは優しい目で「そう。良い友達ね、リナは」と言ってくれた。


美月は小学校からの親友で、いつも明るくて笑顔が素敵な子。でも、ここ数日、どこか元気がない。話しかけても「大丈夫」って言うだけで、本当のことを話してくれない。何かあったのかな...そんなことを考えながら、私は学校へ向かった。


**午前**


教室に入ると、美月はもう席に座っていた。「おはよう、美月!」と声をかけると、「あ、おはよう...」と小さな声で返ってきた。やっぱり元気がない。


1時間目の国語の授業中、ふと美月の方を見ると、ノートに何も書いていなかった。先生の話を聞いているようで、実は別のことを考えている。そんな感じが伝わってきた。


2時間目が終わった休み時間、私は思い切って美月に近づいた。「ねえ、美月。最近元気ないけど、何かあった?」


美月は一瞬、驚いたような顔をした。そして「別に...何もないよ」と答えた。でも、その目は笑っていなかった。


「本当に?私、親友だよ。何か困ってることがあったら、話してほしいな」


私がそう言うと、美月は少し目を伏せた。「...あのね、実は...」と言いかけて、でもまた口を閉ざしてしまった。「ごめん、やっぱり大丈夫」


私は無理に聞き出すのは良くないと思って、「わかった。でも、話したくなったらいつでも聞くからね」とだけ伝えた。


**昼**


お昼休み、私たちはいつものグループで屋上でお弁当を食べた。でも美月は、ほとんどお弁当に手をつけていなかった。他の友達も心配そうに美月を見ていた。


「美月、食欲ないの?」


一人の友達が聞くと、美月は「ちょっとお腹痛くて...」と言った。でも、それが本当の理由じゃないことは、私にはわかった。


昼休みが終わる少し前、美月が「ちょっとトイレ行ってくる」と言って席を立った。私は何となく胸騒ぎがして、少し時間をおいてから美月を探しに行った。


トイレの前を通りかかると、中から小さな泣き声が聞こえた。「美月...?」と声をかけたけれど、返事はなかった。でも、あれは間違いなく美月の声だった。


私は扉の前で立ち止まった。入るべきか、それとも...迷った。でも、親友が泣いているのに、何もしないなんてできない。


「美月、私だよ。入ってもいい?」


しばらく沈黙があった後、鍵を開ける音がした。


**午後**


トイレの個室で、美月は涙を流していた。私は何も言わずに、そっと隣に座った。


しばらくして、美月がぽつりぽつりと話し始めた。


「...実はね、クラスの何人かに無視されてるの」


私は驚いて美月を見た。「え、どういうこと?」


美月の話によると、先週の体育の授業で、美月がミスをしてチームが負けてしまったことがきっかけだった。その後、何人かのクラスメイトが美月に冷たくなったという。


「最初は気のせいかと思ったんだけど...廊下で会っても目を合わせてくれないし、話しかけても素っ気ない返事しかしてくれない。私、何か悪いことしたのかな...」


美月の声が震えていた。私は胸が痛くなった。美月は本当に優しくて、誰かを傷つけるような子じゃない。それなのに...


「美月は何も悪くないよ。体育の授業でミスなんて、誰にでもあることじゃん」


「でも...私のせいでみんな負けちゃって...」


「そんなの、チームスポーツなんだから、一人のせいじゃないよ。それに、そんなことで人を無視するなんて、間違ってる」


私は強い口調で言った。でも、美月は首を横に振った。


「リナはそう言ってくれるけど...でも、みんなに嫌われたくないから、何も言えないの。もし反論したら、もっと嫌われちゃうかもしれない」


美月の言葉に、私は言葉を失った。確かに、反論することで状況が悪化するかもしれない。でも、このまま黙っているのも辛すぎる。


「ねえ、美月。一緒に先生に相談しない?」


私がそう提案すると、美月は慌てて「ダメ!先生に言ったら、もっと大ごとになっちゃう。お願い、誰にも言わないで」と言った。


私は困った。美月の気持ちもわかる。でも、このままじゃ美月がずっと辛い思いをし続ける。


「わかった。先生には言わない。でも、私ができることはある」


「え...?」


「私が、その子たちに話してみる」


美月は驚いた顔をした。「リナ、やめて。そんなことしたら、リナまで巻き込まれちゃう」


「巻き込まれるとか、そういうことじゃないよ。美月は私の大切な親友なんだから。親友が困ってるのに、何もしないなんてできない」


私は本気だった。正直、怖くないと言えば嘘になる。でも、美月を一人で苦しませるわけにはいかない。


放課後、私は美月を無視しているという生徒たちに話しかけた。彼女たちは最初、警戒した様子だった。


「あのね、美月のことなんだけど...」


私が話し始めると、一人の女子が「別に、私たち何もしてないけど」と言った。


「でも、美月は傷ついてる。体育の授業でミスしたことを、まだ気にしてるみたいだけど、あれはミスじゃなくて、ただの偶然だったよ。それに、チームスポーツなんだから、一人のせいじゃないと思う」


私の言葉に、彼女たちは黙り込んだ。しばらくして、別の女子が小さな声で言った。


「...別に、ずっと無視するつもりじゃなかったんだけど...なんか、どうやって普通に戻ればいいかわかんなくて」


その言葉を聞いて、私は少し驚いた。彼女たちも、どうすればいいか困っていたのかもしれない。


「じゃあ、月曜日から普通に話しかけてあげてくれない?美月、本当に悩んでるんだ」


彼女たちは顔を見合わせて、そして頷いた。「...うん、わかった。私たちも、ちょっと大人げなかったかも」


**夕方**


帰り道、美月と二人で歩いた。私は彼女たちと話したことを伝えた。


「リナ...ありがとう。でも、怖くなかった?」


「正直、すごく怖かった。声が震えてたと思う」


私が正直に答えると、美月は少し笑った。「そうなんだ...それなのに、私のために」


「当たり前だよ。美月は親友なんだから」


美月の目にまた涙が浮かんだ。でも、今度は悲しい涙じゃなくて、嬉しい涙だった。


「リナがいてくれて、本当によかった。ありがとう」


「どういたしまして。それに、月曜日からはきっと大丈夫だよ。彼女たち、ちゃんと話を聞いてくれたから」


夕日が私たちを照らしていた。美月の横顔を見ると、少しだけ笑顔が戻っていた。


**夜**


家に帰ると、お母さんが「おかえり。遅かったわね」と言った。私は今日のことを全部話した。美月が泣いていたこと、彼女たちに話しかけたこと、怖かったけど勇気を出したこと。


話し終わると、お母さんは私を抱きしめてくれた。「リナ、よく頑張ったわね。本当の勇気っていうのは、怖くないことじゃなくて、怖くても行動することなのよ」


お父さんも「友達のために立ち上がれるなんて、立派だ」と褒めてくれた。


太一が「お姉ちゃん、かっこいい!」と目を輝かせた。さくらも「私もお姉ちゃんみたいになりたい」と言ってくれた。


夕食の後、私は自分の部屋でベッドに座った。今日は本当に疲れた。でも、同時に、何か大切なものを得た気がした。


携帯電話が鳴った。美月からのメッセージだった。


「今日は本当にありがとう。リナのおかげで、少し前向きになれたよ。明日からまた頑張れそう。大好きだよ、親友!」


そのメッセージを読んで、私は涙が出そうになった。嬉しい涙だった。


「どんな時でも笑顔で」


私の好きな言葉を思い出した。今日、私は美月の笑顔を取り戻すために行動した。怖かったけど、やってよかった。


ベッドに横になりながら、私は今日のことを振り返った。勇気を出すことの大切さ、友達を思う気持ち、そして何より、行動することの意味。


窓の外には星が輝いていた。明日はきっといい日になる。そんな予感がした。


**日記**


今日は私にとって、大きな一日だった。親友の美月が、クラスの何人かに無視されて悩んでいることを知った。トイレで泣いている美月を見たとき、胸が締め付けられるような思いだった。


美月は優しくて、誰も傷つけないような子。そんな美月が、体育の授業でのミスを理由に無視されるなんて、絶対に間違ってる。


私は美月を無視していた子たちに話しかけた。正直、すごく怖かった。自分まで無視されるかもしれない。そんな不安があった。でも、親友が苦しんでいるのを見過ごすことはできなかった。


話しかけてみたら、彼女たちも実は困っていたことがわかった。どうやって普通に戻ればいいかわからなくて、結果的に無視し続けてしまっていたらしい。きっと、誰かが一歩踏み出すきっかけが必要だったんだと思う。


お母さんが言ってくれた「本当の勇気っていうのは、怖くないことじゃなくて、怖くても行動すること」という言葉が、今もずっと心に残っている。


私は「無理」とか「諦める」という言葉が嫌い。今日、私は諦めずに行動できた。完璧じゃなかったかもしれないけど、美月のために何かできた。それが嬉しい。


美月からのメッセージを見たとき、本当に泣きそうになった。「大好きだよ、親友!」という言葉が、何よりも嬉しかった。私も美月が大好き。これからも、ずっと友達でいたい。


今日学んだことがある。友達を思う気持ちがあれば、勇気は自然と湧いてくるんだということ。そして、一人で抱え込まずに、誰かと分かち合うことの大切さ。


月曜日、美月が笑顔で学校に来られますように。そして、クラスのみんながまた仲良くなれますように。


私はこれからも、どんな時でも笑顔で、大切な人たちを守れる強さを持っていたい。今日の経験は、私を少しだけ強くしてくれた気がする。


田中 里奈

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ