ひとり
いったい、何度言われたことだろう?
何を書いているの。誰に書いているの。なんのために書いているの。どうして教えてくれないの。
言われたことのほとんどは、疑問文のはずなのに、圧倒的な予断を持って発せられた言葉のような気がした。
つまり『理解できない、そんなことして、なんの意味があるの』。
そんな意味を含んでいるような気がするのは、半分くらい僕の思い過ごしかもしれない。だけれど、もう半分はどうしても僕の思い過ごしでは済まないような、切って捨てる響きを持っていた。
そんな風に考える僕はナイーブ過ぎたのかもしれない。誰もが自分に敵意を持っていると想像するなんて。
そこまで考えて、僕は苦笑した。ナイーブ、ね。三十を過ぎてしばらく経っているのに、ナイーブ、つまり子供っぽいだなんて。
当てにならない自分の性向は置いておこう。そういったことを考えすぎるのは、時にして僕のような職業には必要な技能ではあるけれど、それだって、いつもそんなことを考えていたら疲れてしまう。僕はモニタとキーボードに向かった。
やるべきことをやろう。たとえ理解されなくても。