表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/33

028 聖結界護衛

 デルス街、正午。


 大勢の面々で賑わっていたが、道路の真ん中で、シュリとビブリアが複雑な面持ちで話し合っている。

 そこに、アリエルとペールが駆け寄る。


「どうしたのですか? ハーピー方から呼ばれてきました」

「アリエル、転移魔法を出してみて」


 シュリが不安そうに問いかける。アリエルはゆっくりと手を翳すが――。


「……どういうことですか。出ません」

「私が使役していた魔物の視界が遮断された。ペール、アンデットモンスターは動いてる?」

「森の外で自動行動(オートモード)しているからわからないよ。でも――何か違和感を感じる。結界みたいな」

「……魔力妨害の可能性が高いです。すぐに全員を集結させましょう」


 ビブリアが顎に手を置いて、静かに言う。

 そのとき、ゴンが上空から降りてきた。


 とても具合が悪そうにしている。


「ゴン、どうしたのですか!?」

「飛行魔法ができなくなってる……なんか変だよ」

「……明らかにおかしいですね。敵の可能性が高いです。私が指揮をとります」


 覚悟を決めたビブリアが声をあげるも、アリエルが制止する。


「敵って……人間でしょうか? でも、手を出すのは……」

「非常事態だよ。デルス様も、悪人は倒していいっていってるでしょ」

「ペールの言う通りだわ。使役した魔物を街の中に集結させる。みんなに周知して」


 一人不安げなアリエルをよそに全員が行動しはじめる。


 それから数時間後、空からハーピーのシルティアが、苦しそうに降り立つ。


「兵士が……来ました」


 全員が森門に視線を向ける。そこには十人ほどの銀甲冑の兵士が立っていた。

 代表として、ビブリアが前に出る。


「なんでしょうか」

「我らはリーエル国のものだ。ただちに投降せよ。それが、わが国の王でおられるドルストイ様のご命令だ」

「どういうことでしょうか。私たちは何もしていませんが」

「そんなことはない。魔物(お前たち)と取引していた女は既に捕まえている」


 ビブリアはすぐにメリットだと気づいた。今日、彼女は来ていない。


「彼女は領地民ではありませんし、自由権限で取引をしています」

「はっ、口の回る魔族め。そんなもの、魔族のお前らと取引した時点で無効だ。すぐにこの街を明け渡せ、城も全てな。猶予は一時間だ、すぐに行動しろ」


 そういって兵士は去っていく。


 ビブリアは、すぐに六封凶やレイヤ姫、蜥蜴族(リザードマン)に事の顛末を話す。


「交渉する気はなみたいいです。ただ領地を狙っているのでしょう。しかしメリットさんが捕らえられているみたいです」

「……なんてひどい」


 レイヤ姫は眉をひそめる蜥蜴族(リザードマン)は戦うべきだと進言、ハーピー一族もそれに同意した。

 吸血鬼族もだ。だが六封凶のアリエル、ペール、シュリは不安げな顔を浮かべている。


「アリエル、転移魔法は?」

「……ダメですわ。……ねえ、ペール、魔王様ならどうすると思いますか?」

「きっと、メリットさんのことを一番に考えるんじゃないかな」

「ビブリア、どうするのか決めなきゃ。戦うか逃げるか」

「……そうですね」


 だがそのとき、デルス街を白い光が囲う。

 それは複雑な魔術の結界だと気づく。


「――そうか、さっきは戦力を確認する為に――」


 瞬間、街中の魔力が著しく低下する。


 同時に、恐ろしいほどの声がいたるところから聞こえた。

 その先導者に、リーエル国の王がいた。


「クックック、魔物だらけというのは逆にありがたいな」

「しかし良いのですか? 今回の魔法は協定を結んだ際の秘匿魔法です。問題になるかもしれませんよ」

「なあに、バレなければいい。――しかし凄いな聖結界護衛(ホーリーフィールド)とやらは」


 それは、対魔物、魔族だけに有効な、魔力阻害を含む四つの大国が編み出した魔法だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ