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雨の日の遠足

幼稚園で、初めての遠足の日がやってきました。好き嫌いの激しい娘が美味しくお弁当を食べられるように…と、できるだけ、娘が食べられるものをお弁当に詰めました。


いよいよ遠足の日。

その前日の天気は晴れていたものの、天気予報は雨90%の予報です。明日の遠足は中止だろうな…と思いつつ、幼稚園に娘を迎えに行きました。

先生と「さようなら」の挨拶をする子供達。教室の窓には、てるてる坊主が並んでいます。先生は「明日の遠足、楽しもうね」と言って、子供達と握手で挨拶。もちろん、娘もニコニコしながら帰って来ました。

そんな娘の様子を見て、私は不安に思いました。以前も、公園や買い物の予定を告げていて、その日に雨のため、中止にすると、癇癪を起こしていた娘。娘に「明日、雨だったら遠足で公園に行けなくなっちゃうね」と話しかけると、娘は「先生が『遠足に行く』って行ってるから行くんだよ。ママ、お弁当を作ってね」と笑っています。私は明日の天気や、娘がどんな風になるのか、不安でいっぱいになりました。


遠足の当日。やはり、天気予報は当たってしまい、どしゃ降りの中、娘と傘をさして、幼稚園までの道のりを歩きました。もちろん、靴は履けず、長靴です。給食は中止となっているので、雨天でもお弁当持参です。この日は、幼稚園バッグではなく、遠足用に買った新しいリュックサックを背負って、娘は登園しました。登園の道のりの中、娘に「雨だから、遠足には行けないよ」と話しますが、娘は「傘をさして行けばいいんだよ。皆と遊ぶんだ」と遠足に行く気満々です。


幼稚園に着き、娘が教室に入ろうとした時、やはり、担任の先生から「今日は雨なので、遠足は中止です。幼稚園の中で遠足ごっこをしますよ」と言われました。その時の娘の顔。今でも忘れられません。

…フリーズし、無表情になっていました。


娘の後から登園してきた子供達は「何で遠足、行けないの?」「雨だからしょうがないっか」と言いながら、次々と教室の中に入っていきます。

娘は「抱っこ」と言って、私にしがみつきました。私が娘を抱っこすると、幼稚園の中で初めて、大泣きしました。登園して30分経っても、娘の涙は止まりません。私も泣きたくなりました。


他のお子さん達は、雨で遠足が中止になったことを素直に、さらっと受けとめて、次の行動にうつれるのに。ウチの娘は何故、この当たり前のような事実が受け入れられないのだろう。


「他の子と違う」

以前も抱いた思いがまた、心の中をよぎりました。


クラスの子供達のほとんどが教室内に入った頃、副担任の先生がようやく、娘の異変に気づいてくださり、抱っこを代わってくれようとしました。しかし、娘は私から離れようとしません。


「遠足に行くって言ったもん。遠足に行く!」


泣き叫ぶ娘を先生に預け、後ろ髪を引かれる思いで自宅に帰宅しました。


やはり、娘は他のお子さんと何か違うのだろうか。その思いが強く感じられた最初の出来事でした。

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