実父の入院と、私の緊急入院
毎日、娘を連れて、実父の入院先の病院に通う日々が始まりました。
幸い、実父は、意識を取り戻し、徐々に容態がよくなっているかのようにみえました。しかし、心停止の時間が長かったためか、脳へのダメージが大きく、実父は、実母と私の顔を見ても、名前がわからない状態となってしまいました。時々、錯乱状態となり、暴れてしまうこともありました。今、自分が居る場所がわからなくなってしまったり、自分自身のことがわからなくて錯乱してしまうようでした。
その頃は、まだ実父の病名は確定診断がついていませんでしたが、後から『高次脳機能障がい』と診断がつきました。この病気は、心筋梗塞等の疾患から脳のダメージを受けてしまい、他者の名前や顔を認識できなかったり、失語症(言葉を忘れてしまう)や、物忘れがひどくなったりします。
実母は、元気だった頃の実父のことが忘れられず、かなり気落ちしてしまいました。定年を間近にし、定年後は夫婦二人で全国をあちこち旅することが、私の両親の老後の夢だったそうです。
それなのに、自分の名前や顔さえ思い出せない実父の症状を、実母はなかなか受け入れがたかったようでした。
私は、娘と一緒に、毎日、お見舞いに出掛けていました。しかし、身重の身で無理がたたったのか、「切迫早産」となってしまい、緊急入院することになりました。
実母からは「あんただけが頼りだったのに!」と怒鳴られました。夫が盾となってくれ、「このまま産気づいて、お腹の子が産まれてしまうと命に危険が伴う。妻が入院中の間は安静が必要なため、しばらくは連絡を取らないで欲しい」と実母に話してくれました。
私は、実父のことを思いながらも、今は自分のお腹の中にいる赤ちゃんを守ること。そして、もうすぐ2歳を迎える娘が不安にならないように…と、今の家族を優先することにしました。
しかし、そんな私にまた、試練が訪れるのです。