実母との確執
そんな言葉を言われた私ですが、初めての子育ては、やっぱり不安。実母に頭を下げ、産後に実家に帰省することをお願いしました。
妊娠中は、切迫早産になりながらも内服薬で何とか臨月を迎えることができました。そして出産。激痛に耐え、我が子が私のところにやってきました。欲しかった女の子。でも、ふにゃふにゃしていて、すぐには「かわいい」と思うことが出来ませんでした。ただ、「やっと会えたね」と。抱っこしてみると、とても軽くて。こんな小さな生き物を守り、育てていくんだ…という決意みたいなものが心の奥底からわき出てきたのを憶えています。
産後、一週間の入院を経て、実家に「里帰り」しました。そこには、実母なりの気遣いがあったのでしょう。私と子供用にと、客間の一室に布団が準備してありました。
退院後、私は、子供と二人で実家での子育てを始めたのです。
実家での初めての子育ては、私がイメージしていたものとは全く違っていました。
私の、妊婦さん友達から得た「里帰り出産」の情報では、産後直後から約一ヶ月は、赤ちゃんと一緒に寝たり起きたりの生活。とにかく、しっかりと寝て食べて、体力をつけること。子育てに徐々に慣れること。
ですが、私の実家生活は、退院の翌日から自分の布団を干すことから始まり、食事の準備や片付け。洗濯物の取り込み。その間には、赤ちゃんの授乳とおむつ交換。沐浴。目の回るような忙しさでした。夜間の授乳もあり、私はフラフラに。体力的にも限界でした。
それ以上に辛かったこと。それは、実母からの数々の言葉でした。
「お乳も、まともに出来ないの?」
「沐浴したみたいだけど、片付けが出来てないよ」
「あんたはやっぱり『出来ない子』だね」
…実母の言葉が、新米ママの私の心を、グサリと胸をえぐりました。
実母から言われた『出来ない子』。
それは、実家で住み続けた結婚前、私が幼少期の頃からずっと言われてきた言葉でした。
実家での生活を送り始めて三日目。私は限界でした。
夫に「迎えに来て欲しい。自分の家で、ゆっくり子育てしたい」とメールを送りました。夫は、仕事が終わると直ぐに、私の実家に駆けつけてくれました。その間に、少しずつ、自宅に帰る荷作りをしていた私。
夜遅く、夫が実家に到着し、私は実母に「今までお世話になりました。家に帰らせてください」と頭を下げました。
実母は怒り心頭。
「親戚に、初孫がウチに来てるって言っちゃったわよ。親族が孫を見に来るのに、あんたは帰るのかい。親の顔を潰す気なの!」と怒鳴られました。
…あぁ。実母は、あくまで、私よりも親戚。体裁のが大切だったのです。
私に汚い言葉を投げつける実母と目を合わせないよう、夫と共に、自宅に戻るため、私と子供の荷物を黙々と車に運び入れました。
自宅に帰る車内で夫に、「辛かった…」と、むせび泣く私。夫は、何も言わず、「二人で子供を育てていこう」と言ってくれました。
こうして私の初めての子育ては、夫と二人で再スタートを切ったのです。