王都からの旅立ち【リン】【アルカナ】【エリザベス】【M】【暗殺者の少女】
0:王都正門
アルカナ:リン、どうした?
リン:生まれてからずっと王都で育ってきたんだ
リン:もう、帰ってこれないかもしれないね
0:アルカナは無言でリンのワキ腹を殴る
リン:痛っ!
アルカナ:俺がパーティを組んでやったんだ。責任を持って、お前が帰れるまで俺が面倒見てやる。世間知らずのガキが細かい事気にするな
リン:なんだと! ガキじゃない! 僕は勇者だぞ!
エリザベス:リン様! アルカナ! 先に馬車を出してしまいますよ。早くしてください
リン:はーい
アルカナ:わかったよ
0:馬車に乗り込み、進み出した
アルカナ:リン、最初はどこに行くんだ?
リン:ジョージ地方のネグロ村さ
0:ジョージ地方
0:ネグロ村
暗殺者の少女:師匠、ただいま戻りました
M:おかえり。シチューの余りと今日作った芋の団子がある
暗殺者の少女:師匠、最近機嫌が良いのですね
M:ん? なぜそう思う?
暗殺者の少女:シチューと団子を作る時は限って楽しそうなので
M:そうだな。大切な友人2人から教えてもらった大切なレシピだ。これを作る度に彼らの事を思い出せるんだ
0:馬車の中
エリザベス:それより、不思議ね
アルカナ:何がだ?
エリザベス:Mはなぜ所在が割れているの? 暗殺者なら所在地がバレていては危険でしょう?
アルカナ:それか。ネグロ村は王家に属する暗殺者の里なんだ。王国と敵対した国に潜入し、要人を次々暗殺する
アルカナ:敵国や国に仇なす輩からは脅威だが、国が認める潜伏警察だ。隠れる必要はないんだ
リン:Mはどんな奴なんだろう。僕はワクワクしてるよ!
アルカナ:お前も会った事はないんだろう? 警戒したほうがいい
エリザベス:ええ、2人は私が守るわ
リン:大丈夫だよ!
リン:この地上で二足歩行の生物にこの僕が負けるわけがない
アルカナ:そうか。頼もしい限りだ
リン:僕は勇者だからね! みんなに勇気を与えるんだ
0:ネグロ村
アルカナ:ここか……薄気味悪いところだな
リン:さーて、愛しのM! 待ってて! 僕のM!
エリザベス:リン様! あんまり先に行かないでくださいー!
暗殺者の少女:あなた、一体何者ですか
0:リンの背後に暗殺者の少女が現れた
リン:そう言う君こそ、なんなんだ。お尻に話しかけるなんて! 失礼じゃないか!
0:リンは相手を咎めながら背後に回し蹴りをするが、かわされた
暗殺者の少女:二度目の質問です。あなた達は何者ですか?
エリザベス:リン様! このチビ! 喰らいなさい!
0:エリザベスが大剣で攻撃する
暗殺者の少女:危険度が高い敵対行動を確認しました。反撃を開始します
リン:おりゃ!
0:リンの攻撃を暗殺者の少女はかわす
エリザベス:ちょこまか……と!
0:エリザベスも重い大剣で追撃
暗殺者の少女:3対1では分が悪い。撤退しなくては
アルカナ:させるか! 映し出す鏡。愛をとどめ、楔は役目を終える
アルカナ:氷の花畑
暗殺者の少女:印術………
リン:アルカナ、ナイス!
アルカナ:足は封じた! 追撃はよせ!
リン:食らえ! とどめだ!
アルカナ:リン、待て!
0:M(リン達にとっては見知らぬ男)が突然現れ、リンの突剣を素手で受け止めた
M:助けに来たぞ
リン:え……?
0:Mはリンの胸を手のひらで押す
リン:ってのあああああ!
0:リンはバランスを崩して後ろに倒れた
M:この氷、取り除いてやるから待て。はあ!
0:Mが剣を抜き、暗殺者の少女の足を固めている氷を砕く
暗殺者の少女:師匠、力が及びませんでした
M:手練だ。お前の問題じゃない
M:お前達は何者だ?
0:リンが立ち上がる
リン:……よっと! 君がMだね?
M:ああ
リン:どっかから見られてる気がしてたのは君だったのか
M:ほぉ、バレていたのか。完璧に隠れていたつもりなんだが
リン:僕の鼻を舐めてもらっちゃ困る。今日の晩ご飯の献立から、リザが1日何回発情したかまで完璧に分かる
エリザベス:ちょ!?
アルカナ:絶対無駄な事にしか嗅覚使ってないだろ
リン:敵対する気はないから、話を聞いて欲しいな
M:俺の家に案内する
アルカナ:簡単に信用していいのか?
M:俺の脅威にはならない。あと、シチューの余りがあるが食べるか?