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2:それは再び。




 貨幣を換金して懐がウハウハになった私は、昨日テレビで見た洋菓子店に行き、噂のプリンを二つと、季節限定のヨーグルトムースの甘夏ジュレ添えを二つ購入した。

 両方とも賞味期限が今日だけど、甘いものを目の前にした女子の胃袋は無限の領域を展開できるのだ。


 ルンルンで家に帰って、冷蔵庫の扉を開けた瞬間、ピカーッ!と、光った。普段の冷蔵庫にあるまじき眩しさに目が潰れそうで、ぎゅむむっと目蓋を閉じた瞬間…………デジャブなやーつ。


「寒ぅぅぅぅっ!」


 絶対に、冷蔵庫からの冷気じゃないやーつ。


「そのほうは、何故にまたそのような薄着なのだ? おい、早くコートを持って来きてやれ」


 目の前には、呆れ顔の白いおヒゲの魔術師長さんがいた。

 そしてまた肩から白い毛皮のコートを掛けられた。

 そもそもいま地球は真夏なわけで。私が半袖のブラウスとスキニーパンツなのは普通なわけで。

 呆れられる意味が全く解らないけれど、私はいい大人なのでっ! コートのお礼を言った。


「――――で、今度は何ですか?」


 またプリンか? プリンなのか? 欲しいのか? どんだけ国王死にかけてんの⁉ 万能薬で回復したんじゃないの? 昨日の今日で毒でも盛られたの? 迂闊なの?


 心の中で見たこともない国王を軽やかにディスっていたら、魔術師長さんから予想外の言葉が発せられた。


「昨日の万能薬により陛下の容態は今朝方には安定した。陛下がその方に感謝を伝えたいと仰られたのでな」

「…………お気持ちだけで結構でした」

「まぁ、そう言わずについてこい」


 遠慮とかじゃなく、心の底から…………あ、はいはい、ついていきますよ。そんなに睨まないで下さいよ。つか、魔術師長さん態度がデカくない⁉ 私、一応たぶん国王救った人だよね⁉ いや、救ったのはプリンだけども。


 魔術師長さんが、普通は下民はこんなところまで入れないのだぞ、心優しい陛下のご厚意に感謝しろ、とかとか偉そうなことを道中ずっと言っていてウザかったので、魔術師長改め『ヒゲジィ』と心の中で呼ぶことを決めた。




 もやもやもちゃもちゃと心の中で文句を言っていたら、国王陛下の私室の前に到着した。

 いや、お城の奥深くに歩いて行ってる気はしてたけど、まさかの私室。これは確かにヒゲジィがグチグチ言うのも頷ける。


「陛下、お連れしました」

「入れ」


 ヒゲジィがノックをして、入室の許可を得てから扉を開け、私だけ入室させると、パタンと扉を閉めてしまった。

 まさかの謎な状況に扉をガン見するけど、開くはずもなく――――。


「あぁ、貴女が私にあの万能薬を届けてくれた女性ですね?」


 思っていたよりも若い声と『()()()()()()』に違和感を抱きつつ振り返ると、そこには…………何か予想外に無害そうな純朴な青年がいた。


 何と言えばいいのだろう…………。

 ぶっちゃけヒゲジィは、どこぞの映画俳優だ?ってくらいに長身のイケメンだった。だいぶ高齢だけども。

 ヒゲジィの周りにいた他の魔術師らしき人たちも、なかなかのイケメン揃いだった。

 んで、国王。

 国王…………金色のストレートロング、瞳は緑やオレンジや青が交じる珍しいアースアイ。

 でも、何というか…………平凡。

 身長は一七〇センチくらいだった。ここも平凡?

 ちょもっとタレ目な感じは可愛いかなと思えるけど、やっぱり平凡。そうとしか言いようのない顔。予想外すぎる。


「さあ、こちらへ。お名前をお伺いしても?」

加藤田(かとうだ) (はる)です」

「けいとぅだぁ――――」

「あー…………ハルと呼んでください」


 そっと左手を取られ、ソファへと誘導された。が、私は国王の顔をガン見し続けていた。

 だってさ? アニメとかマンガ本で見てた女性向けの異世界転移ものって基本的には超絶イケメンの王子様とかお貴族様と恋に落ちるが定番じゃん?

 国王、超平凡顔だよ?


「っ、そんなに見つめられると、照れてしまうのですが」


 平凡……良く言って純朴な顔の国王が頬をポポポっと染めた。

 あ、ちょっと可愛いかも。




 次話は15時くらいに投稿します。

 本日中に完結予定です。

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