お正月特別記念SS お年玉バトル編
本編とは別のお正月特別編となります。
お楽しみいただけたらと思います。
「あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします」
今日は元旦。新年のあいさつを終えた三姉妹はこたつに入り、お正月特番のテレビを見てのんびりと過ごしている。
「去年はいろいろあったよな~」
「もとこお姉ちゃんがあんなことをするからまたひと騒動起こるんだし……」
「いいじゃねーか。結構楽しかったんだし」
「もーうるさい! テレビ聞こえないじゃん!」
三姉妹が集まるといつもの喧騒が始まる。そこへ、ボードゲームを片手にほろ酔い気味のマコト近寄ってくる。
「まーた三人で喧嘩しているんだから。ゲームしようぜ、ゲーム」
「ゲーム? 私いいよ~テレビ見ているもん」
そういうとテレビの方に向きなおすのうか。その反応はわかっていたと言わんばかりにある物を取り出す。
「のうかちゃん? これなんでしょうか?」
「あ! お年玉? ガッキーありがとう!」
「あーでもただあげるのも面白くないし、じゃあゲームで勝ったら2倍でどう?」
「私が負けると思っているの? いいじゃない。打ち負かしてあげるわ!」
内心、乗ってきたと喜んでいるマコト。しかしここで予想外の人物たちが動く。
「なるほど……ゲームに勝てば報酬が2倍と」
「これは負けられませんね……頭脳派の私のプライドにかけても」
「ちょっと二人とも? 報酬2倍といつ決まった?」
なぜか報酬が2倍となるという無茶な条件が設定され、ボードゲーム大会がスタートした。
(フフフ……そんな条件設定されようともこのゲームは百戦錬磨。負けるわけがない)
そしてゲームはマコトの圧勝で進んでいくが、だんだん慣れてきたふゆうがじりじりとマコトを追い詰めていた。
「や、やるじゃないか……」
「マコトさんこそ大人げないですよ。そろそろ勝ちを譲ってくれてもいいんですよ」
明らかに二人には近づけない雰囲気が漂い出す。
「どーでもいいけど、私らのことを忘れているよな?」
「うん、のうかも飽きてきた」
ゲームが白熱して、喉が渇いてきたふゆうがテーブルの上にあった飲み物を勢い良く飲んだ。そして勢い余ってせきこんだ。
「おい! ふゆう大丈夫か?」
「ちょっとまこと何飲ませたの?」
「あれ? あ、間違えて俺が飲んでだチューハイ飲んじゃったかな? 大丈夫、そんな飲んでいないでしょ?」
血の気に引いた顔で顔を合わせるもとことのうか。そして、慌てた様子でその場から逃げようとする。
「あ、そういえば親っさんにコミケ帰りのお土産を受け取りに行く約束忘れてた! ちょっといってくるわ」
「わ、私も友達のにゃーちゃんと遊びにいくんだった! じゃあ行ってきます!」
あわててその場から逃げだす二人。
「いったいどうしたんだ? 」
何が起こったのか分からない様子のマコト。そして、顔を真っ赤にしたふゆうがむくりと起き上った。
「マコト! ちょっとそこに座れ!」
「え? ふゆうさん? なんかキャラ変わってませんか?」
「やかましい! 自分が得意なゲームで圧勝して面白い? ちょっとお話合いが必要ですよね? たーっぷりお話合いをしましょうね……」
それから数時間……ふゆうの酔いがさめるまで正月早々正座させられ、延々とふゆうの愚痴タイムが続いた。そして、ぷつっと糸が切れたかのように眠ってしまった。
「や、やっと終わった……」
ホッとしたマコトは心に固く誓う。もう二度とふゆうにお酒は間違っても飲ませないと……
「お? やっと終わった?」
「もう大丈夫だよね?」
部屋の奥の扉からもとことのうかが顔を出す。
「二人とも知ったの?」
「いや、まあ、その……」
「確信犯か……ささ、二人ともそこに座ろうか?」
満面の笑みで二人に微笑むマコト。しかし、顔は笑っていても目は笑っていない。
この後、ふゆうが起きるまでたっぷりお説教を受けた二人。そして、ふゆうが起きてからまたお年玉をめぐるバトルが再開し、誰が勝ったのかは神のみぞ知る。
今年も、三姉妹とマコトのにぎやかで楽しい一年が始まろうとしていた。