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第4話 三姉妹と柿泥棒(後編)

 柿泥棒のニュースから数日後、今までにない異例の大量盗難が相次いでいるとして県警とJAが連携しパトロールの強化に乗り出していた。

 幸いなことに西垣農園ではその被害は受けていなかったが、独自で警戒に当たっていた。


「ところで、のうかちゃん? その大量の猫ちゃんたちは一体どこから?」

「え? 私の友達だよ。っということで人数分のチュールよろしくね~」

「えっとこれは今日だけですよね?」

「は? 何言ってんの? 警戒に協力してくれるんだから期間中でしょ?」


 有無を言わさずに大量のチュールを買うことが決定されていた。拒否しようものならものすごい殺気が10数匹いる猫からマコトへ向けられる。そして、宅配便トラックが止まり、何かが届く。


「こんにちは! お届け物でーす! お支払お願いします。」

「ふぁ?」


 訳もわからず支払いを済ませる。そして、中身を見て愕然とする。そこには頼んだ覚えのない大量のチュール。


(いつの間に……予定外過ぎる出費だよ……)


 お財布に大ダメージをうけ、うなだれるマコトに優しく声を掛けるもとこ。


「まあ、被害にあうことを思えば安いもんだろ? 男ならそれくらいで気にするな!」

「お前が言うな!」


 馴染みのやり取りをしていると、見回りに出ていたふゆうが帰ってきた。


「ただいま。いろいろ話聞いてきたけど、組織的にやっている可能性が高いみたいですね。」

「おかえり。そっか、貴重な情報ありがとう」


 今年の被害は、例年とは違っており手の届かない位置にある物まで綺麗にもいで盗まれるケースや、ハサミで枝ごと切られるケースもあった。それ手口は素人が切るような切り方ではなく、明らかに手慣れた者が関わっていることが明白であった。


「さてと、そろそろ会合に行ってくるよ。みんなはゆっくりしていてね」

「いってらっしゃい~」


 ※

「さて、被害が少ないとはいえまだまだ油断はできないですよ。私たちと猫ちゃんで今日も夜も見回りを強化しましょう。さあ、行きましょう!よろしくお願いしますね」

「にゃー!」


 マコトが出掛けたあと、三姉妹は作戦会議を開いていた。夜、目がきく猫達の協力を仰ぎ、各区画を見回り異常があればすぐ三姉妹に知らせる作戦だ。

 一斉に各区画へ走り出す猫たち、この作戦を開始してから数週間が経つが今のところは何事もなく過ぎており、収穫も順調に進みもうすぐシーズンの終わりに近づいていた。


(何事もなくこのままであればいいのですけどね……)


 1人そんな心配をするふゆう。そんな心配をよそに他の2人はテレビを見てのんびり過ごしていた。

 そうして、今日も何事もなく終わるかと思っていた時、ものすごい勢いで一匹の猫が駆け込んできた。


「にゃー!にゃー!」

「不審者が出て今みんなで取り囲んでいる?って?」

「よっしゃ!ついに出たか!久々に腕が鳴るぜ!」

「ちょっと怪我させるのはだめだからね! とにかく現地へ急ぎましょう!」


 飛び込んできた猫の先導のもと現地へ急ぐと10匹以上の猫に引っ掻かれている人物が畑中央に見えた。


「ぎゃぁ! 痛い痛いって!」


  次から次へと猫たちに飛び付かれ逃げ回る


「あいつが不審者か! よし、捕まえに行くぞ!」

「私の友達が見つけたんだからね! 私がつかまえる!」

「ちょっと2人とも……ってちょっと待って。あれってまさか」


 ふゆうが持ってきたライトを取りかこまれている人物に照らしてみると……

 そこにいたのは大量の猫にボコボコにされたマコトであった。


「ちょっと、何で襲われているんですかね?」

「あれ? 会合があるって出掛けていませんでした?」

「終わったから畑の様子見に来たの! 木の枝にビニール袋がついていたから取ろうとしただけなのに」


 とりあえず、猫たちに離れるように話をしてマコトから引き離す。


「ま、紛らわしいことをしているから悪いんでしょ!」

「え? 僕が悪いんですか? 何もやっていないですよね?」

「まあ、柿泥棒じゃなくてよかったじゃないですか。猫ちゃんたちも協力してくれたわけだし……」

「……っち、紛らわしい。せっかくの私の活躍が……」

「ちょっとそこ!なんで舌打ちしてるんだよ!」


 こうして夜の柿畑でのいつもの騒動は終わった。

 今シーズン西垣農園では被害にあうことなく、無事に収穫を終えることができた。


「ところで、のうかちゃん? この(猫ちゃん)たちいつまでいらっしゃるのでしょうか?」

「まさか、友達を追い出せなんて言うの?」

「うわ……マコトってそんな風に猫ちゃんたちのことを……」

「そんな……マコトさんはそんな人じゃないと信じ出たのに……」


 一気に三人から冷たい視線が降り注ぐ。


「なんで、毎回俺が悪いことにされているんだよ……」


 今日もいつも通り西垣農園で繰り広げられる三姉妹とマコトによるドタバタ劇。

 マコトに安息の日は訪れるのだろうか……


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