第1話 富有柿三姉妹
イベント終了後の事務所にいきなり現れた三人。呆然とたたずむマコトをよそに三人はまだもめていた。
「もう少しスマートな登場の仕方をしましょう。ってみんなで話し合ったのにもとこ姉さんはいつも力ずくで何とかしようとして……」
「あ?そんなの気合と根性でなんとかなるだろ? だいたい結果オーライなんだから細かいこと気にするな」
「もー二人ともさっきから私の前に立つな! ジャマだって!」
ますますヒートアップしていく三人。その様子を見ながらハッとしたマコトがいまだ混乱する頭をフル回転させ、その場を仕切りなおすために叫んだ。
「ちょっとストップ! ケンカは後でやってくれ。それよりも今の状況を整理するから三人ともその辺の椅子に座って!お願いだから!」
マコトの必死な叫びにしぶしぶといった感じで思い思いの椅子やソファーに座る三人。
「まず三人のことを順番に教えてほしい」
それぞれが座ったところで一人ずつ自己紹介をしてもらう。
「私は三姉妹の長女もとこだ。よろしくな」
来客用ソファーにドカッとすわり、手に持った柿を豪快にかじりながら答える。
「私は次女のふゆうよ。突然あんな登場の仕方でびっくりさせてしまってごめんさないね、マコトさん」
ただの事務椅子に座っているだけなのにそこだけ高貴な雰囲気に包まれ、何でもないしぐさに妖艶さがただよう。偶然目が合い、こちらむかい微笑んだだけなのに思わずドキッとしてしまう。そんな感情を悟られないように慌てて視線を外す。
「私の番だな! 私はのうか。三女! 私が三人の中で一番なんだぞ!」
勢いよく椅子から立ち上がり堂々と胸を張り自信満々に答える。その様子にさっきまでの殺伐としていた雰囲気も吹き飛び、優しい気持ちで微笑ましく見守る三人。その様子に気が付いたのうかがイラっとした様子で叫んだ。
「あー! 絶対馬鹿にしてるでしょ! 私が一番すごいんだって見せてやるんだから!」
「そうだね~のうかちゃんが一番だね。キャンディー食べる?」
次女のふゆうがどこからかキャンディーを取り出し、のうかに差し出す。
「あ! キャンディーだ! 食べる食べる! お姉ちゃんありがとう!」
あっさりとおやつに陥落したのうかを見て、またほっこりとした空気に包まれる事務所。そんな光景の中、ハッとしたマコトが三人に肝心なことを切り出す。
「ところで三人のことは分かったけどこれからどうするの?」
そう口にすると三人が一斉にこたえる。
「そんなのここでお世話になるに決まっているだろ!(でしょ!)(じゃん!)」
「ええー!!」
むなしく夜の直売場にこだまするマコトの叫び声。
この日から三姉妹とマコトの周囲の人間まで巻き込んだドタバタの毎日がスタートするのであった。
この作品を見つけて読んでいただき本当にありがたいです……!
まだまだ不慣れ部分が多いですが、暖かく見守っていただけたらと思います。
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