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*キャラクター



<リレック>


 自分の畑に好き放題していった勇者を追う農民。20歳。


 故郷である村を出た後は、

 どこか肥沃な土地に自分の畑を作ろうと色々学んでいく。

 もちろん最優先は復讐。


 戦闘能力は上の下にぎりぎり届くかどうかくらい。

 普通よりは強いが極端に強い訳ではない。

 槍の技術も別に高めようとは思っていない。


 圧倒的に槍術の経験が足りていない、

 故郷の武芸者たちが強かった、それ以上にライチェが強すぎるため、

 自身の技量をかなり下に見ている。


 あまり頭はよくない直情型。責任感が強く、果断即決なリーダー気質。

 標準語の読み書きはシュペナートに教えられてちゃんとできる。

 実は"力ある言葉"も読み書きはできないが単語の意味は理解している。

 シュペナートが詠唱で何を言っているのか分かるのが証拠。



 両親は武芸者の母と、農夫の父親。

 父親はリレックが二歳の頃に亡くなっているので、ほぼ母子家庭。

 母親は日々の糧を得るために鉱山で働いていて、死因は塵肺。


 槍術の心得は子供の頃に母からむりやり仕込まれたもの。

 リレックは母の事を嫌ってはいなかったが、槍の稽古は嫌いだった。

 母が畑を作ったのは、

 リレックが鉱山で働かなくても生きていけるようにするため。



 母が作っていた紫の実は、そのものずばり茄子なす

 異国を原産とする野菜で、物語の舞台ではあまり作られていない。

 リレックは茄子をあまり好んでいないが、食べ方を知らない所為。

 灰汁抜きをせずに生で食べていればそりゃ美味しくない。


 スィーニーグラースの効果はあくまで

「ダメージの視覚化」「弱点部位にマーカーを表示」であり、

 それ以外の効果はない。

 ギゥルレークと戦っていた時も、

 相手が消耗していたとはいえリレック本人の実力だけ。


 槍術は守りに優れていて、攻めるより反撃を主体とした槍を使い、

 相手が余程の強者でなければしぶとく持ちこたえる。

 作中でも圧倒的強者を相手にしながらも、運にも助けられているが

 危ない場面はあったものの致命的な攻撃は受けていない。


 名前の由来はチェコ語の茄子(lilek)。

 茄子の花言葉は「よい語らい」「希望」「真実」「つつましい幸福」など。




<シュペナート>


 リレックについていく幼馴染の魔術師。21歳。

 愛称はシュぺ。


 唯一の友人であるリレックについていく理由は、

 彼ら以外に友人がおらず、村にいるのも居心地が悪そうだったのと

 色んな魔導書が見たかったから。


 魔術で最も得意とするのは土の魔術。

 水の属性も割と使えるが、大魔術レベルは土属性だけ。


 魔術師である事に誇りを持ち、第二話の

「魔術師がそう信じ、意志によってそうしたいと願うなら、

 炎は水の中だろうと消えない」という言葉はその信念の現れ。


 冷静を装ってはいるが直情的で、情に厚い。

 知識はあるものの頭の回転はあまりよくない。

 臨機応変に対応するのは苦手で、決断が遅いため

 切り札を温存したまま使わずじまい、という事も度々やってしまう。


 復讐に生きる事に意味はない、夢や楽しい目的を追う事にこそ

 意味があると考えており、そのために旅立ちの際もう一つの目的を問うた。

 友にはそのために生きてほしいから。



 特に土属性の癒しの魔術を得意としており、

 重傷一歩手前くらいなら治す事ができる。


 そもそも発見されていない重力を操ったりなどはできない。

 土と石に関するものなら割と何でもできるが。


 癒しの魔術は生命を生み出す大地からの連想で、

 エネルギーを引き出して与えるもの。

 水にも似たような癒しの魔術があり、そちらは海からの連想。


 リレックが何をしようとついて来てくれるような事はない。

 山賊のような事をすれば即座に見限って去る。

 決定権をリレックに預ける場面が割とあるが、

 あくまで自分の主導は自分自身であり、誰かに委ねてはいない。

 旅をする上で役割分担の重要性を理解し、弁えているというだけ。



 名前の由来はチェコ語のほうれん草(špenát)。

 ほうれん草の花言葉は「活力」「健康」など。


 第七話に出てくる物語「裸のフラーシェク」は

 チェコ語のえんどう豆(hrášek)。

 えんどう豆の花言葉は「永遠の悲しみ」「必ず来る幸福」など。




<ライチェ>


 村に立ち寄ったある女魔法使いが実験の失敗で作った自我を持つ案山子。

 案山子としては八年ほど前に作成され、自我が発生したのは五年前。

 人格のベースは女魔法使いであり、可愛い造形をしている。

 "魔法使い"なので当然魔族。狐の頭の狐人。


 リレックに付き従う素朴で一途な案山子。割とお調子者。

 作中では"彼女"としているが人格が女性なだけで、肉体的性別は無い。


 手、足は棒であり指は無い。

 指先を使った繊細な行動はできず、

 五感も触覚(痛覚は含まない)は微量、他は存在しない。


 視覚と聴覚は核による魔力で行っており、

 魔力を遮断する人物がいた場合見えないし、

 何を喋っているのか聞こえなくなる。

 魔力によるエコーロケーションのようなもの。

 書かれている文字などは読めない。当然色盲。


 顔は個別のパーツに分かれているが、

 ぶっちゃけ頭が取り外されていても核さえ無事なら見えるし喋れる。

 黒い丸で目を、小さい棒一つで眉、同じく棒二つで口が作られていて、

 眉と口の形を動かす事で表情を作っている。


 経年劣化もあって両手、両足は鋼鉄に取り換えられており、

 我流の格闘術もあって凄まじい戦闘能力を発揮する。

 主に回し蹴りを得意とするが、平衡感覚を考えなくていい非生物ならでは。


 体の中心に埋め込まれている魔力結晶が核であり、これを破壊されると死ぬ。

 エネルギー源は日光などの強い光であり、

 案山子である彼女は外に立っているだけで

 食事と睡眠を同時にとっているようなもの。


 声は妙に可愛らしいので、喋れば大体女の子と認識される。

 声の元になっているのも女魔法使いの地声。



 普段は麻の服とスカートに、

 赤い実の絵が描かれた可愛いエプロンをつけている。


 駆動方法のイメージは魔力で人型の力場を作り、

 その中にある部品を、魔力の力場を動かすのに付随させて動かしている。

 端的に言うなら∀ガンダムのIフィールド・ビーム・ドライブ。

 そのためマリオネットのような挙動で動き、

 関節部分も機械部品のように厳密にくっついている訳ではない。


 自然に破損、損耗箇所が治る事は無いので、定期的なメンテナンスは必須。

 自身のダメージにも疎い。動かしてみて初めて欠損に気付くほど。

 作中では残虐な言動を時々見せる事があるが、

 痛みを感じないので人体の破壊に躊躇が無いため。



 リレックの事は父親+主人÷2みたいな感じで見ているので

 調子にこそ乗るが、からかったりはしない。

 シュペナートは兄妹のような友達なので、

 ちょくちょくからかうような事を言ったりする。


 名前の由来はチェコ語のトマト(rajče)。

 トマトの花言葉は「完成美」「感謝」など。



 作中で歌っていた歌のイメージは

「男一匹夢街道(爆走デコトラ伝説)」

「月が笑ってらぁ(必殺仕事人・激突!)」

 鉱山村で育ったリレックが知ってる歌となればこうもなる。


 彼女の歌は息継ぎを一切行わないので、初めて聞く人には違和感を与える。




 3人の元ネタ? のようなものは「茄子とほうれん草のトマトパスタ」。

 3人の関係性は「父親と兄妹」。

 リレックが父親、シュペナートが息子、ライチェが娘。




<ツィブレ>


 聖剣に選ばれ、魔王を倒す宿命を負ったクソガ……少年。14歳。

 人や物を傷つけるのに良心の呵責が一切なく、善悪の区別がつかない。

 その上ずる賢く我儘。

 権力をかさに着て好き放題をする下劣な精神性を持つ、

 勇者とは程遠いクソガキ。


 幼い頃に母を亡くし、父子家庭で育ってきた。

 祖父と父はツィブレに引け目のようなものを感じており、

 過剰に甘やかして育ててしまった。


 当初は母がいない寂しさから始まったわがままと悪戯だったが、

 誰にも叱られないのでエスカレートし続け、

 子供にとっての娯楽などほとんどない鉱山村で

 唯一の楽しみとして嫌がらせを行うようになった。


 本質的には構ってほしい子供なのだが、

 飛びぬけた嫌がらせの才能のお陰で見事なクソガキに。

 役に立つからいい顔をしているが、父親と祖父の事は嫌っている。


 リレックとシュペナートとは年が近く、

 彼らには母親がいた(ただし双方共に母子家庭)ため、

 羨ましさから目の敵にしていた。

 とはいえ直接何かをするのは怖いため、畑や家に悪戯を仕掛ける事が大半。

 ライチェの目を盗んで畑の作物を勝手に食べる行為を最も面白がっており、

 彼女からは害獣として認識されている。



 地頭は非常によく、頭も回る。全てを嫌がらせに使うだけだが。

 祖父は武芸者で、父親は商人。

 どちらも少し修練をしただけで音を上げて止めた。

 戦闘に関しては素人同然。

 一応見よう見まねで剣技っぽい事はできるが、強さはお察し。



 勇者に選ばれ、行動に関して国王のお墨付きを得た事で

 下劣な精神性は極限まで肥大化。

 直接的な暴行すら行うようになってしまった。


 しかしメルカとの出会いが転機となる。

 庇護欲求と母性を満たしてくれる彼女に甘える事が、

 嫌がらせを行うよりも楽しく心地の良い事だった。

 そのため彼女に依存していき、メルカもツィブレに依存し、共依存関係となる。

 ツィブレにとって初めてできた「大切なもの」がメルカ。


 初めてできた、自分には二度とできないであろう大切なもの。

 メルカが死の淵に瀕した時、ツィブレはそれを理解した。

 故にそれが失われるかもしれないというのなら、いかなる苦痛にも耐える。

 どれほどの強敵だろうと死に物狂いで倒す。

 阻む者を皆殺しにしてでも彼女を守り、救おうとする。

 それと同時に、大切なものを壊された時の感情をはじめて知った。



 基本的に相手の事を名前で呼ばない。案山子女、魔術師野郎など。

 リレックを名前呼びするのは、"農民野郎"だと

 故郷にも割とたくさんいて誰だか分からないから。

 メルカはもちろん例外。大切なものだから名前で呼ぶ。



 名前の由来はチェコ語の玉ねぎ(cibule)。

 玉ねぎの花言葉は「不死」。




<メルカ>


 ツィブレが駄々をこねて洗礼の旅の共に選んだ美少女。16歳。

 端的に言ってしまえば勇者のご機嫌取りをする生贄。

 どれだけ嫌悪しようが、どんな命令をされようが逆らえない。はずだが。


 三属性を操る魔術師だが、四属性を操る稀代の才を持つ宮廷魔術師の

 父親と常に比較され、劣等感を抱えて生きてきた。

 魔術の才が物足りないものだった事もそれに拍車をかける。

 年の離れた弟が四属性を操った事で劣等感は限界まで高まり、

 自己否定にまで追い込まれていた。


 両親や身の回りの人々は一切それに気付かなかったが、

 ツィブレとの出会いが転機となる。


「父に及ばない魔術師」でなく「可愛い従者」として彼女を求めたツィブレと

「クズい勇者を諭し導く魔術師」として勇者を求めたメルカの思惑が重なり、

 ツィブレは「庇護欲求」を、メルカは「承認欲求、優越感」を

 お互いに満たされ、共依存的関係に。

 正に割れ鍋に綴じ蓋といわんばかりに仲良くなっていった。


 鍋と蓋がぴったり合わさるが故に、

 お互いの喪失は何物にも代えがたい許されざる事。

 だからこそメルカはツィブレのために盾になろうとするし、

 ツィブレはメルカのために身を貫かれる苦痛と恐怖にすら耐える。



 得意属性は火。使用属性は火、水、風。

 水と風はただ使える程度。

 得意な火の属性も実は後述のミーテより下の素質しかない。

 ミーテと同じような魔術を使う時に、詠唱が長いのがその証明。



 名前の由来は玉ねぎの成分、

 n-プロピルメルカプタン(玉ねぎを焼くと出てくる甘味)。


 ツィブレとメルカの元ネタは、

 バカップル+ダメンズに引っかかる女性+ダメンズブリーダー。



 本編内で描写、言及された状態は、

 体が動かなくなる:脊髄損傷 血が腐る:腎機能低下。

 脊髄、腎臓は自然治癒できない。


 この世界にはリハビリのような医療技術も無く、

 当たり前だが人工透析も不可能なので通常は安楽死が選択される。

(「血をろ過する」という概念が無いので魔法、魔術の対象にできない)




<ウーズィ>


 魔王軍の三魔将の一人。巨大な剣を振るう赤鱗の竜人騎士。

 かつてある人間と出会い、人間の兵士たちに敗れ、

 人間の誇りを知りその強さに憧れた魔族。


 昔は非常に粗暴で傲慢、人間を玩具か餌程度にしか見ていなかった。

 魔王軍はだいたいそうだが。

 現在は美味い食事を愛し、人間の誇り高さを愛し、

 自らも誇り高き騎士であろうとする豪放磊落でちょっとおちゃめな竜人。



 一人称が「吾輩」の上、豪快な喋り方なので気付かれないが、実は女性。

 声は洋画吹き替え系の重低音だが。


 人間に換算すると20代後半。

 人間の美的感覚に置き換えてみると身目麗しい美貌の女騎士。

 喋ると気さくで豪快な、おっさんみたいなお姉ちゃん。


 作中では最強に近い戦闘能力を持つ。

 膂力、防御、耐久力、剣技、戦闘経験のいずれも最上位であり、

 魔術抜きでは勝機すらまともに見いだせない。

 そんな魔将をただの人間が倒したからこそ、彼女は人間と誇りを愛した。



 基本的に同格~ちょっと下の相手には「貴公」。

 王国の騎士や宮廷魔術師など、

 ちょっと上と思っている人物には「貴殿」を使う。

 王様は凄く上なのでそのまま王、と呼んでいる。

 余程礼を失した相手でない限りは「貴公」を使う。

 第三話で騎士たちに言った「お前」は相手をかなり下に見た、挑発的な呼び方。



 聖なる短剣と対になるという大聖剣は、

 本来ウーズィ用に魔王が作った超巨大剣。

 余りの巨大さ(約10m)で持てないため魔王の居城に放置されていた物を、

 先代勇者が持って帰ってきて、これで倒したと嘘をついた。

 本当に止めを刺したのは短剣の方で、不死の力を利用したごり押し。

 なので洗礼とか受けてもただの人間に抜ける訳がなく、洗礼は完全なでたらめ。



 名前の由来はロシア語の人との絆、繋がり(узы)。



 三魔将のあと二人は

 リエーヴ(ロシア語、嫉妬。リエーヴナシチ/ревность)、

 ギゥルレーク(スウェーデン語、玉ねぎ/gullök)。


 第三話で話した、ウーズィを罠にかけた同僚はリエーヴ。

 ウーズィはただの同僚として見ていたが、

 リエーヴはウーズィを毛嫌いしていた。

 ギゥルレークとはお互い話がかみ合わないし、

 話す事もあまりないので悪い印象は無い。




<村長>


 第一話に登場。リレックたちの故郷の村長。

 横暴と傲慢だけは極めたような武芸者のなれの果て。

 孫を溺愛し言いなりになって、衰え始めた肉体に怯え、

 権力に固執し、それでも自分が一番でないと気が済まない哀れな老剣士。

 戦闘能力は上の中といったところで、剣技の極みに近しい所まで辿り着いた男。

 しかし自分にとっての"極み"を見出せず、極めし者たちの姿に挫折し、

 小さな村で裸の王様となった愚かな老人。


 名前は設定していないが、付けるなら玉ねぎの近縁種のチェコ語読みか。




<ゲシェム>


 第二話に登場。ナハル村に住む農民。

 ちょい役兼リレックたちと村民の橋渡し役。

 気のいい農家の兄ちゃん程度の設定しかない。


 名前の由来はヘブライ語の雨。


 村の名前の由来はヘブライ語の川。




<ミーテ>


 第二話に登場。野菜泥棒の女魔術師。得意属性は炎。13歳。


 父親と2人で半年前に旅人となり、底辺を這いずり回っていた悲しい女の子。

 父親の所為で故郷に居られなくなり、

 母は彼女を置いて逃げ出し、仕方なく父親と一緒にいた。


 魔術は独学で炎を軽々と操るレベルにまで達しており、

 シュペナートの見込み通りに天賦の才を持つ。



 貰った魔導書は売らずに、お師匠様から貰った物として宝物にしている。

 わざわざ魔導書を売らなくても、余裕で旅人として、

 魔術師として生きていけるポテンシャルを秘めていた子。

 邪魔していたのが父親。


 水の中で燃える火は彼女の得意魔術となったが、

 実は超の付く難易度の高等魔術。そう簡単にできる魔術ではない。



 優しいがゆえに優柔不断で、

 なあなあで父親に従ってこそ泥のような真似をしていた。

 リレックたち(正確にはシュペナート)に出会わなければ、

 一年も経たないうちに犯罪者として投獄か、野垂れ死にの末路だった。



 ミーテの父親は村から逃げた後、野垂れ死にしている。

 びしょ濡れ服を乾かさずに風邪ひく →

 食べ物無くて腐った屍肉と毒のある木の実食べて腹壊す → 死亡。

 ミーテの炎の魔術に頼りきりで火口箱さえ持っておらず、

 狩りした事も生肉食べた事もなかったから当然。



 名前の由来はイタリア語の暖かい(mite)。

 父親に名前はつけてない。別に必要ないので。

 キャラクターとしての元ネタは、毒親にいいように利用される子供。


「水の中で燃える火」は沸騰したお湯で、

 それに塩を一つまみ入れて軽く湯がけば「ほうれん草のお浸し」の完成。




<グアント>


 第四話に登場。ビリエット村に住む大農場の地主。35歳。

 うさん臭いを体現したような顔といい声の紳士。性格は善人。


 着ているものが大抵ボロ服。

 余計にうさん臭さを際立てせているが、正装になるとうさん臭い紳士感全開。


 現在は豪農をやっているが徒手格闘術の達人であり、

 極みに近しい域にまで至った人物。

 ライチェが殺す気でかかっても普通に勝つくらいには強い。

 流石に格闘術が効かないような人外には勝てないが。

 師範として奴隷の子供たちに護身格闘術を教えている。



 奴隷たちに対する態度はこの世界の者としてはかなり珍しく、

 学校+ちゃんと給料の出る労働を主軸にしている。

 奴隷たちはグアントを慕い、逃げる事をしない。

 逃げた所でこれ以上の場所は無い事など理解しているから。

 態度の理由は、姉が奴隷として人買いに攫われた経験から、その代償行為。


 格闘術の参考にしたのは中華武術全般、特に八極拳。



 名前の由来はイタリア語の手袋(guanto)。


 村の由来はイタリア語の切符(biglietto)。




<コンデム>


 第四話に登場。東からやって来た、奴隷を開放して回っている貴族。

 奴隷解放は完全に彼の善意であり、

 奴隷の主人から(相場より高めに)買い取るという形で合法的に開放する。


 少年の頃、家の奴隷だった女性とお互いに恋心を抱いたが、

 彼女は奴隷であるがゆえに他の貴族に売られ、二度と会う事がなかった。

 それから彼は狂い、父の死後継承した莫大な財を使い潰し、

 奴隷を開放し続けている。

 後先の事など一切考えないその様は、もはや妄執と言ってもいい。


 彼の著書"全人自由論"は何となくそれっぽくしながらも、

 実際に存在しない著書をイメージした名称。

 少なくともググる先生は知らないと言っていた。


 名前の由来は英語の「~に有罪の判決を下す」「~を非難する」

 という意味で使われる単語(condemn)。




<フネラル>


 第五話に登場。禁術を使って豊穣の畑を作っている魔術師。

 魔術の属性は水。31歳。

 本作の水属性には氷を扱うものは存在せず、それは風の魔術になる。

 純粋に液体を操る魔術。


 かつて野盗に妻と娘を殺され、その報復行為として野盗を殺戮し、

 魂を禁術の生贄として畑に豊穣の魔術をかけている。

 その対象は野盗、盗賊行為を働く者であれば無差別といってもよく、

 幼子であろうと容赦無く禁術用のストックとするか殺す。


 彼にとってそれは妻子の葬送と、己を貶める復讐のためであり

 そこに他の感情が入る余地はない。

 墓に供える花を摘むのと同じ感覚。


 禁術を使って誰も食べない野菜を作り、畑を維持し続けているのは、

 禁術という助けられる力を持ちながら妻子を助けなかった己への怒りと贖罪心。



 水を超高速の弾丸のように操る魔術を最も得意とし、

 その威力は容易に鋼鉄を貫通するほど。

 一旦攻撃対象として認定した相手へは容赦無くこの水を振るう。

 単音節で自在に振るわれる超高速の水弾から逃げられる者はそういない。


 禁術で作られた、魂を十個までストックしておける異形の杖を保有しており、

 必要とあれば躊躇いなく禁術を使う。


 "死せる土"は自然治癒を爆発的に反転させてしまう魔道具のような物。



 名前の由来はスペイン語の葬儀(funeral)。


 村の名前の由来はイタリア語、スペイン語の悲しい(triste)。




<コロコニ>


 第六話、第七話に登場。

 熊人の魔族と、商人一家の人間の女性との間に生まれた混血の少女。11歳。


 熊の耳と尻尾がある。尻尾は小さいので服の中。

 帽子を被って耳を隠せば見た目は人間と変わらない。

 熊の半獣人なので筋肉質で、体重が重い。


 半獣人のため視力はあまり良くないが嗅覚が鋭い。

 普段は目を細めているので、少々目つきが悪く見える。いわゆるジト目。


 非常に頭が良く、冷静でありながら果断、合理主義。

 人の感情の機微に長ける。生まれながらの商人。

 両親が襲われている時に一人で逃げるように言われ、

 恐怖ではなく合理性をもって即座に逃走を選べる少女。


 計算高く執念深い所もある。

 二十年越しの復讐を成し遂げる場面などはその極致。



 別にヤンデレではない。想い人に恋人ができたなら、

 一晩中泣きはするだろうが諦めて祝福する。

 想い人に相手がいなければ、

(合法的な)あらゆる手を使って心を掴むために全力を尽くす。


 自分の可愛らしさや美しさを磨く、相手の好物をプロ顔負けの腕前で作る、

 思わせぶりな仕草や言動、状況や相手の感情に応じた対応……等々。


 かかあ天下は彼女にとって失敗の象徴であり、本人の希望は夫を立てる妻。

 なのだが、彼女の才がそれを許してはくれない。



 名前の由来はアイヌ語の蕗 (ふき)。

 モチーフの動物は熊、特に羆 (ひぐま)。

 好物の"植物の茎を煮たもの"は蕗の煮つけ。


 蕗の花言葉は「愛嬌」「公平な裁き」

「正義がなされるでしょう」「困った時に側にいて」など。



 キャラ造形に使用した羆の習性は

「最初に食べたものに執着する」

「自分の獲物を奪われた際、執拗に取り返しにくる」

「例え加害中であっても逃げる物を最優先にして襲う」。



「蕗と茄子の京風煮浸し」という料理がある。




<リーネア(リーネア・ベンターナ)>


 第七話に登場。ベンターナの町の領主の五女。

 屋敷をお忍びで抜け出し市井で遊ぶ、わがままお嬢様。17歳。

 その実は屋敷から出た事もなかった箱入り娘。


 非常に珍しい碧眼をしており、それによって正室の子でありながら疎まれ、

 豪農に嫁がされる事となった。


 貴種の責務を誰よりも理解し、自分に課された役目を

 全うすることを使命と考える気高く誇り高い才女。

 奴隷王(*グアントの蔑称)との結婚も受け入れており、

 初恋すらした事がないしする気もない。自身が家の道具だと割り切っている。


 洞察力に非常に優れ、口喧嘩で勝てるような人物は

 国で数えるほどしかいないレベル。浮気なんぞ秒でバレる。

 ごまかしを嫌い、常に正々堂々と正直さをもって相対する事を好む。

 少々悪戯好きな所はご愛敬。



 碧眼は魔族の血や母親の浮気などの結果ではなく、ただの突然変異。

 物語の舞台で碧眼の人間はリーネアしかいないほど珍しい。

 この物語中にコーカソイド(白色人種)、ネグロイド(黒色人種)はいない。

 登場人物は全てモンゴロイド(黄色人種)系。リーネアの髪も黒髪。

 だからこそ青い目が非常に目立ってしまったという面もある。



 名前の由来はイタリア語、スペイン語の線(linea)。


 町の由来はスペイン語の窓(ventana)。




<プント(プント・ベンターナ)、

 パレンテシス(パレンテシス・ベンターナ)>


 第七話に登場。

 リーネアの兄で、長男と次男。ベンターナの次期領主とその弟。

 二人ともきっちりと帝王学を修めた優秀な貴族。

 ちょい役。



 長男の名前の由来はイタリア語、スペイン語の点(punto)。


 次男はスペイン語の括弧(paréntesis)。




<ギゥルレーク>


 最終話に登場。三魔将の一人。

 獅子の頭を持つ獣人剣士で、大剣と短剣の二刀流。

 忠誠心の薄いウーズィやリエーヴと違い、

 魔王に心から忠誠をこえた愛を誓う唯一の魔将。


 真面目というよりは狂信者に近い。

 人間どころか魔王軍の魔族すら、殺すのに一切の躊躇が無い。


 魔王から与えられた自分にしか使えない"不死"の力を持つ短剣により、

 不死身の剣士として恐れられた。

 しかしある時その短剣を盗まれ、なぜかその短剣を使えてしまう人間、

 つまり勇者に魔王が討たれてしまう。


 その失意の果て、魔王が復活する事を信じて

 ウーズィが眠っていた癒しの魔道具と同じものを使い、五百年の眠りについた。

 魔王復活後は、自身の短剣を勇者から奪い返す事を目的に行動している。



 獅子の獣人なので身体能力は凄まじく、

 更に捨て身の剣技でそれを扱うので尋常の強さではない。

 瞬間的な戦闘力ならばウーズィより上。


 しかし、不死である事を利用した剣技は肉体の損耗が激しく、

 長時間の戦闘には不向きで、防御も甘い。

 だからこそ弱点を無くしてくれる、不死の短剣に固執しているともいえる。


 実は純粋な剣技だけならリレックの槍術以下。

 攻撃が単調なのは技術で剣を振っていないから。

 身体能力が同等だったなら、第一話の村長に完封される位に技術は微妙。


 ウーズィと同じく女性。こちらはたてがみがない雌の獅子なので一目瞭然。

 リエーヴも女性。全員魔族基準で絶世の美女であり、魔王の趣味が伺える。



 獅子の獣人なのはフランスの行進曲「玉葱の歌」の歌詞より。

 Un seul oignon nous change en lion. 俺たちゃ獅子に変わるよ。


 名前の由来はスウェーデン語の玉ねぎ(gullök)。


 キャラクターとしての元ネタは、玉ねぎの花言葉と

 恋すると他事が何も見えなくなるタイプの人、カルト宗教の狂信者。


 戦闘スタイルの参考にしたのは

 ダークソウル3のファランの大剣、ゲールの大剣の戦技モーションと説明。

 


 村の名前の由来はスペイン語の試験(prueba)。




<魔王>


 本編には最終話エピローグにしか登場しない、

 人間と人間に与する者たち全ての敵。

 複数の獣の特徴を持った異形の魔族で、絶大な魔力を持っている。


 元々は異世界の住人であり、有り余る魔力を持て余していた魔王が

 人間たちの世界に侵攻してきたのが五百年前の人魔戦争。

 その理由は「何か弱っちそうなのがいるから

 殺したりして遊ぼうぜー」でしかない、生粋のクズ。


 本作に登場する魔族(獣人)が全て雑食、肉食性の者しかいないのは、

 草食性の者はこんなゴミカスについていかなかったから。


 ギゥルレークから不死の短剣を盗み取った"勇者"に敗れ、

 五百年後に蘇生する魔道具により復活。

 それすら遊びの範疇とし、魔道具で無限に復活できるので

 命への執着すらなく、故に命を大切にする心が無い。

 人間も、配下の魔族も、魔王にとっては好き勝手に壊していい玩具にすぎない。

 三魔将ですらお気に入りの玩具でしかない。



 魔王本人は単に人間で遊びたかっただけで、

 魔王軍という組織を作ったのは三魔将のリエーヴ。

 指揮と統率をウーズィが行い、

 リエーヴが組織体系を管理し纏める事で維持されていたのが魔王軍。


 ウーズィが離脱し、ギゥルレークが死に、

 統率が取れずに滅茶苦茶になる魔王軍の状態に

 焦ったリエーヴが実行したのが、3話エピローグの王都への強襲だった。


 大黒柱が全て抜けた軍がまともに機能するはずもなく、

 人間と共存派魔族の連合軍にボコボコにされて敗走、

 魔王軍はあっさり壊滅している。



 第一次戦争時、人間と共存する気の無い魔族は

 主に共存派魔族の手によって粗方始末された。

 放っておいて魔王が攻めこんだ目的をばらされでもしたら

 生きていけないので、全力で狩り尽くされた。


 第一次戦争時に六割もの魔族が離反した理由は、

 美味い飯食べさせてくれる人間側の方が居心地いいからだったり、

 人間と仲良くなっちゃって「オレ、オマエ、マモル」だったり、

 戦闘中に意気投合しちゃって部隊が丸ごと寝返ったりしたから。

 そもそもの目的が遊びに来ただけなのでこうもなる。



 ウーズィに魔道具の場所をばらされた事もあり、

 魔王は第二次人魔戦争において敗れ去り完全に死亡。

 勇者ツィブレにより倒された後、

 四肢を落とされた状態で五十日間生かされてから処刑された。


 自分の命にすら真剣になれなかった愚者の最後は、

 王を冠するものとしてあまりにも無様でみっともない命乞いだった。



 キャラクターとしての元ネタは、

 キャラの皮を被せただけで、キャラ崩壊も甚だしい二次創作もどき、

 劣悪で適当な内容のゲーム内コラボなど。


 そして、リレックたちとメルカがいなかったツィブレのなれの果て。

 誰にも叱られず、大事な物を失う痛みも知らなかった子供。





*アイテムなど


<不死の短剣 / ルークノーシ>


 勇者が振るい魔王を討ち果たしたという聖なる短剣。

 実際は魔王が三魔将ギゥルレークのために作った魔道具。

 所有者が死ななくなり、常にその肉体を万全の状態に保つ。


 首が切り離されようが頭を潰されようが、

 短剣が体に触れているなら死なず再生し続けるという

 恐ろしい治癒能力を与える。

 あくまで損壊が即座に治るだけで、苦痛は感じる。

 対象の精神を癒す効果はない。


 誰でも使えないように、力ある言葉の"名前"で

 ギゥルレークにしか使えないように制限がかけられている。

 偶然にも同じ意味の名前をつけられていた先代勇者、

 そしてツィブレにも使えるのはこれが理由。

 本編でも言った通り「力ある言葉は意味さえ合っていればいい」。


 ギゥルレークは魔王に賜ったこれを「不死の短剣」と呼び大切にしていたが、

 魔王が付けた真名は「壊れない玩具」である。


 ウーズィが言った「ルークノーシ」という名前は

 ロシア語の「たまねぎ/ナイフ」(лук/нож)。




<碧眼の槍 / スィーニーグラース>


 ベンターナ家が所有していた魔道具。黒い刃を持つ槍。

 槍頭に青い目を象った二つの宝石が埋め込まれている事からついた名。

 刃毀れすらしない魔力の籠った武器ではあるが

 ただそれだけの物であり、意匠の不気味さもあって価値は低い。



 元々は人魔戦争期に作られた魔道具で、

 ウーズィ直轄の魔王軍精鋭部隊に与えられていた槍。

 真名である「スィーニーグラース」を

 力ある言葉として(意味を理解して)唱えると、真の力を開放する。


 所有者が対峙している相手の状態を看破し、

 負傷状態や弱点などを可視化して見えるようにする効果がある。

 送られてくる情報は視覚情報のため、

 所有者が通常の視覚を持っていなければ意味が無い。

 魔導人形などには使えない。


 効果を発動中、所有者の目の色は淡く発光する青に変化する。

 このため人魔戦争において碧眼は恐怖の象徴であり、

 "戦場での青い目は不吉の証"という言い伝えはそこから来たもの。



 可視化のイメージとしてはFalloutシリーズの「V.A.T.S」。

 槍の名称「スィーニーグラース」はロシア語の

「青/目」(синий / глаз)。




<泥酔の宝石>


 フネラルが所持していた魔道具。琥珀色の小さな宝石。

 所持している魔術師の精神集中を助ける効果をもたらす。

 一度使用すると一日(24時間)のチャージ時間が必要。


 精神を一時的に欺瞞させ、

 理性の箍を外す事で高威力の魔術を発動する助けとする。

 その効果を泥酔中の酔っぱらいに例えられた名。


 過度の使用は術者の精神変容、宝石への依存症などの危険も孕み、

 その様がアルコール依存症に似ている事からでもこの名で呼ばれる。

 フネラルには必要なくなったので、報酬としてシュペナートに譲渡された。



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