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後書き



「勇者様をぶん殴る!」を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 この物語を心の片隅にでも留めておいていただけたなら嬉しいです。



 以下は後書きという名の雑文になります。








 当初は「流離い槍術師、槍を極める」だけを投稿するつもりでした。

 これを作中の言葉でいうなら"名もなき墓標"として、

 誰かの目と心に留まればいいなと。

 評価もいただき、感想でも褒めていただき、満足していました。


 読みにくいという感想でもありましたので、

 地の分を区間ごとに区切り、

 書式をサイトで一般的に見る物に合わせてみましたが、

 多少は読みやすくなっているでしょうか。


 せっかくアカウントを作ったのだから他の方のものも読んでみようと

 活動報告を見てみると、時々見かける報告がありました。

 誰も読んでくれていないようなので終了します、と。


 未完で終わる物語は多々ありますし、

 それこそ作者の都合とモチベーション次第。

 他人にどうこう言う権利はありません。


 それでも、作者であるあなたは見ている。

 何か書きたい物があったから、

 表現したいものがあったから筆を取ったんでしょうと、

 まだ続くはずなのに完結の印だけをチェックされた物語を見て

 悲しい気持ちになりました。


 せめて、ちゃんと終わらせて欲しいという身勝手な感情です。

 ソードマスターヤマトの最終回みたいなのでもいいじゃないですか。

 俺たちの戦いはこれからだ! でもいいじゃないですか。

 一度始めたなら、ちゃんと区切りと付けて、物語を終わらせてほしいのです。

 そうでない物語は、終幕の先を妄想する事すらできないのですから。




 わたしは本や物語を読むにしても酷い偏食で、

 とにかく気に入らない物が多いです。

 数えればきりがありません。それこそ人によって好みは違うのですから、

 自分が嫌いな物を大好きな人だって当然います。

 それを否定する気はありません。


 ゲームをプレイするにしても自分の求める完璧でないと気が済みません。

 同一キャラクターで最後まで進むRPGは経験値が1でも違うのは許せず、

 死亡数などが加算されていくのなら常に0を維持。

 キャラメイクするなら徹底的にロールプレイし、

 キャラクター設定にあったスキルだけを取る。

 数十時間かけたデータでも気に入らなければやり直しなど、

 拘りが強すぎる人間です。


 その上、勝ち方には異様に拘ります。

 宿敵との戦いなら因縁の相手で倒す。

 1回しか使えない最大奥義があるなら止めに使う。

 自分が満足する気持ちのいい勝利を得るために、労力は惜しみません。


 こんな人間が物語に注文を付けたら、どうなるかは一目瞭然です。


 結局の所、自分の望む物語を読みたかったら、自分で作るしかない。

 そうして書いたのが"槍を極める"であり、"勇者様をぶん殴る!"でした。




 逆に何が好きかといえば、作品の根底を成すテーマに真摯な物語です。

 何があろうと決して変わらない、中心に立つ柱のようなもの。

 それがあるからこそ物語が書ける何か。

 それを貫き通した物語を書きたい何か。

 テーマに真剣に、真面目に向かい合って

 結論を出す物語が、わたしは大好きです。

 だからこそ、この物語もそうであるように心がけて書きました。

 出来ているかどうかは分かりませんが。




 この物語の大きなテーマとしたのは三つ。


 一つは先述した通り

「一度作り始めた物語は、

 どんな結末であろうと完結させてほしいという願い」。


 二つ目は「書きたい物だから書きたいし書いているんだという開き直り」。


 そして三つめは「償いと謝罪、罪と罰、復讐とは何なのか」。





 二つ目の「書きたい物だから~」は、物語のタイトルであり目的、

 "勇者様をぶん殴る"に集約されています。

 復讐と言っても一発殴るだけ。

 あまりに下らない行為ですが、それを全力でやって完遂する。

 王道など知った事か、これがわたしの書きたい物語だと、

 書き続けるのと同じ事でした。


 例は第六話で、両親の復讐を誓う少女

 コロコニに助力するのが一般的な物語だと思います。

 第六話は「王道への路線変更」が裏テーマでした。

 こっちの方が面白いよ、こういう話の方がウケがいいよ、などの誘惑を、

 わたしは馬鹿だから、どうしてもこれが書きたい!

 と突っぱねる意図が入っています。


 こうした方が読みやすくなる、この単語はこっちの方が分かりやすい、

 そういった書式や単語選択に関する指摘は本当にありがたいです。

 ですが、物語の内容やキャラクターの言動に関して

 こうした方がいいと言われても、わたしには変えようがないんです。

 それこそが書きたい物なんですから。


 最終話の詩人の台詞としたものは、

 まさしく作者であるわたしの開き直りなのです。




 三つめは物語の主軸。第二話から繰り返し主軸に出していました。

 どれだけ否定されても、復讐はやらなければいけない事なのか。

 復讐の名の下になら、どれだけ残虐な行為でも肯定されるのか。

 復讐の相手が想像を絶する苦痛を受けたと知った時、

 復讐者は拳を止めなければいけないのか。

 それを問うのが各話の登場人物、特にフネラルとツィブレでした。


 第二話のミーテはツィブレと似ていながらも、

 許された存在として書いています。

 罪を犯し、その罪を自身の手で清算したので許されました。


 ではツィブレはどうなのか?

 痛いどころではない苦痛を味わいましたが、

 リレックの畑とは何の関係も無い苦痛です。

 リレックは、ツィブレはあんな目にあったのだから

 復讐はもういいと考えるべきなのでしょうか。

 それを問いかけてみたかったのです。



 本作において、罪から逃げた者は許されていません。

 第一話でライチェに命乞いをした弟子。

 第二話のミーテの父親。第六話の野盗の親玉。

 そして魔王。


 第一話の弟子の命乞いをよく読んでもらえば分かるのですが、

 実は一切謝っていません。なのに許しだけを請うている。

 魔王の命乞いも同じ内容なんです。

 だからこそ許されなかった。


 犯した罪に向き合わず、許しだけは請うような

 責任を放棄した者にかける情けは無い、という訳です。


 ツィブレは最終話でようやく罪に向き合い、罰を受けたからこそ

 許してもらえたのです。

 もしあそこで逃げていたなら、リレックは一生許していませんでした。




 復讐の決着は最初から決まっていました。

 タイトルからしてそう書いてありますからね。"勇者様をぶん殴る!"と。


 最高の畑に関しても、第一話の時点で既に書いておきました。

 "この二人がいれば、どんな所でも笑っていられる"と。

 流石に劣悪な環境の土地は最高の畑とは言えないでしょうが、

 それなりに肥沃な土地なら割とどこでもよかった、という訳です。


 最高の畑は本作において"おまけ"であり、リレックの"次の物語"です。

 本作の主軸はあくまで復讐であり、畑を求める物語ではありません。

 なので目的地だけを示して、本作は終わります。


 だらだらと引き延ばす事に意味を感じない。

 書きたい物だけを書ききって終える事こそが、わたしの望みです。




 とにかく自分の読みたい物、書きたい事、言いたい事を詰め込みました。

 本作「勇者様をぶん殴る!」を読んでいただき、

 何かが心に残ったのでしたら、作者として幸せな思いです。

 雑文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


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