96.アイリスとカミツレ
「二人で話せばいいじゃんか。話したかったんだろ?」
二人して私の治療して、ありがたいけどさ、この雰囲気耐えられないんだけど。
「カリノ、ほんとごめん。」
イラッ
「ねぇアイリス、謝るくらいなら自分で話せよ。カミツレさんのことどう思ってるかとか、二人がどんな関係だったとか、私は何も知らないんだよ。いつまでウジウジしてるつもりなのさ。」
アイリスは、顔を伏せた。何かを考えているようだ。
「カミツレ、ごめん。出て行くってことは、一番、君に伝えなくちゃいけなかった。」
「そうですね、私にはわかりませんでした。あの時、なぜアイリスがその選択をしたのか。」
「巻き込みたくなかった。あの時、カミツレに教えていたら、僕がいない間に何をされるか分からない。まぁ、言い訳になってしまうな。」
アイリスはずっと俯いたままだ。ちゃんと向き合おうとしているのは、伝わってくる。この調子だ、アイリス。でも、なんでまだ私を挟んで話してるんだよ。
「それなら、私も連れて行ってほしかった!アイリスがいない屋敷に、私がいる理由なんてない。私を助けてくれたのは先代様じゃない、アイリスなんだもの。」
カミツレさんの目には涙が浮かんでいた。その涙は、儚くて、とても綺麗だった。
「連れて行けるわけないだろ、どれだけ不自由な生活になるのかもわからなかった。ここにいた方がいい生活ができる。」
「私に必要なのは、自由さでも、いい生活でもない!私に必要なのは、アイリスなの。ずっと辛かった。どれだけ頑張っても、会いたい人に会えなくて。ずっと、ずっと、、。」
カミツレさんは大人しそうに見えて、意外と情熱的というか、感情的なんだな。
「ごめん、カミツレのことを考えていたつもりだけど、違ったんだな。ほんとにごめん。」
アイリスの声は震えていた。横からだとわかる、アイリスの涙。二人とも、互いのことが大切だったんだな。
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