9.いざギルドへ!
「カリノさん!ここがギルドです!」
初めて会って話した時のタニアさんは、少し暗くて落ち着きのある人って感じがしたけど、今の雰囲気を見ると少し幼さが出ている感じがする。かわいいな・・・。
で、ここがギルドか。勝手に酒場のような場所と思っていたが、意外と立派なところだ。
「ぼさっとするな、早く行くぞ。」
「あ、はい!」
心なしかキキョウさんもワクワクしているような気がする。かわいい一面もあるんだな。
「その通り。キキョウはかわいいとこあるよ。」
アイリスさんはそう言ってギルドの中へ入っていった。私は物理的にサフラさんから押される形でギルドに入った。かなり覚悟した。ギルドなんて怖い人の集まりだと思っているから。
(できることなら、今すぐ隠れたい)
「ちょっとカリノちゃん、これじゃ進みづらいよ。」
「すいません、目を閉じていてもわかりますか?」
「うちの感覚なめちゃだめだよ?」
私の妄想のせいで出てしまった黒い大きな布をたたむ。
(この布はもういらないかな)
そう思うと手元からなくなった。ガーベって便利なんだな。人に迷惑をかけてしまう点はしっかりと考えないといけないかな。と、考えているうちに周りがガヤガヤし始めたことに気づいた。
「君すごいね!」
「今のはどんなガーベなの?」
「うちのグループ入らんか?」
なんかこの世界に来たばかりの時を思い出した。このギルドにいる人たちほぼ全員の視線がこっちを向いていた。今までの生活で注目されることなど一度もなかった。それがこの世界に来てから二度も。さすがに疲れてくるし、目が回りそう。天使様恨みます。
(?!)
急に首に何かが触れたと思ったら、キキョウだった。キキョウは私に肩を組んできた。
「悪いがこいつは俺たちの仲間だ。」
そう言って周りの人たちを睨んでいた。メイド服ですることじゃないだろ。キキョウはまるで狂犬だ。
「こらキキョウ!すいません、そういうことなので」
困ったときのアイリスさん。このグループ内で一番大変だ。そういえばタニアさんがいないと思ったら、すでに受付のようなところにいた。そこにいる女性と何か話をしている。
「何度も言っているでしょう。ベルグングには五人でないと所属できないです。」
「だから、もう一人連れてきたんです!」
「あれだけ勧誘して集まらなかったんですよ?余程の物好きを連れてきたんですね。」
「あの、すいません。余程の物好きです。」
ギルドからすると、私の印象最悪だろうな。
読んでいただきありがとうございます。
タニアたち相当ギルドに通ったんだろうな