89.私の居場所
「それじゃあ、この本一旦預かるな。」
「はい、よろしくお願いします。」
プリエさんのほうで、少しでも本のことが分かればいいな。二人の勇者、か。
「おいアイリス、なんか嫌な予感しないか?」
「うん、ちょっとずつだけど聞こえてきてる。」
キキョウとアイリスの表情がいきなり固くなった。嫌な予感、モーヴェ?いや、違うな。アイリスは何か聞こえてる。この前のような焦りは見られない。だとしたら、人か。
「タニア、サフラ、カリノ、移動しよう。」
「え?」
「事情は後で話すよ、今は時間が無い。」
ガンガンガン
ドアを強くノックする音だ。一体なにが来たって言うんだよ。
「カリノ、うちに捕まって!」
「ねね、あとは頼んだ。」
「任せて」
私は言われるがまま、サフラに掴まった。パッとサフラを見ると、目が開いている。初めて見た。こんなに綺麗な瞳をしてるのか。
そんなことを思っているうちに、サフラのガーベでサリュから離れていた。移動中どんな風に見えているのか気になっていたが、目も開けられなかった。少しすると、地に足が着いたように感じたので、目を開けてみた。
「もう逃がしません!」
そこに居たのは、傭兵のような格好をした人たちだった。場所は、私たちの家のリビングだ。
「不法侵入とは、いい度胸だな。」
「、、、。」
傭兵たちは、槍をこちらに向けたまま動かない。
「会話する必要もないってか。」
「力ずくで突破するしかないかな。」
ガンッ
一瞬だった、私たちはみんな、取り押さえられてしまった。振りほどこうとするが、全く動かない。力が強すぎる。
「くっそ!オンブルまで使うなんて聞いてねぇよ!」
「こんなことをしても無駄です!私は絶対に戻りません。ベルグングの一員として、生きていくと決めたので!」
タニアさんの家に捕まったのか?勝手に出ていったから。今まで追われてるなんて素振りなかったのに。
「ごめんなさい、カリノ。また巻き込んでしまいました。」
「そんな、いいんですよ。どんな覚悟も決めてます。私は、タニアさんから何があっても離れるつもりはありません。」
タニアさんの家柄なんて、私には関係ない。ただ、一緒に居られればいいんだ。私は、このパーティがバラバラにならなければいい。このパーティが私の居場所だから。
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