87.謎の本
気がつくとサリュに着いていた。タニアさんの手を意識しすぎて、どうやって歩いてきたかいまいち覚えていない。タニアさんの腕の中にいるサネと目が合った。
「腕、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。サネとっても軽いですから。」
よかった、サネは何でできてるんだろうってぐらい軽いんだよな。
「ゆっくりサリュを見るのは初めてだろ?」
「うん、前は倒れちゃったし、ちゃんと見てないね。」
「カリノは異世界から来てるし、なかなか面白いと思うよ。」
そう言って、アイリスとキキョウを先頭にお店の中へ入って行った。
「すご、、、。」
中は見たことの無いもので溢れていた。棚に陳列されているものもあれば、箱にまとめられているもの、天井から吊り下げられているものまである。
「どうだ、さいこーの場所だろ!」
キキョウは、腕を広げて笑顔で言ってきた。この場所が大好きってことが、十分にわかる。私もこういう落ち着いた雰囲気の場所は好きだ。
「お、なんか賑やかだと思ったら来てたのか。」
「ねね!」
プリエさんが大好きってこともよくわかる。プリエさんと目が合ったので、ペコッとお辞儀をした。
「なんだ、カリノ。今日は大人しいじゃないか。」
「いや、いつもはこんな感じですよ。」
最後に会ったのは、ギルドで一悶着あった時だ。ずっとあの調子だったら、何かが切れてしまいそうだ。
「ゆっくり見ていけよ。」
それぞれが見たいものを見に行ったので、私は端から少しずつ見ていくことにした。小さいものから大きいものまで、びっくり箱から戦闘に使う武器まで、ほんとに色んなものがある。
「ん?」
小さい魔法道具のようなものの中に、古びた本が一冊だけあった。なんでこんなところにあるんだ。私はその本を手に取った。
「なんだそれ。」
そう聞いてきたのは、プリエさんだった。
「え、店主ですよね?」
「これだけものがあって、全部なんて把握してないよ。でも、古書関連は一通り目を通しているはずなんだが。その本だいぶ古そうだし、見落とすはずないんだけどな。」
なにが書いてあるのだろうか。私は、好奇心に身を任せてその本の表紙をめくった。
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