85.平穏な朝
次の日、キキョウからの警戒心は感じられなかった。きっと兄ちゃんに対する警戒心だったんだろうけど、なんでそう感じたか、その理由は聞けずにいるままだ。
「今日はみんなでサリュに行こうか。」
「お、ねねのところに行くのか!」
キキョウはいつも通り元気だ。うん、元気ならそれでいいんだ。それにしても、お姉ちゃんをねねって呼ぶキキョウのギャップがすごくいい。ギャップ萌えってやつだ。
「じゃあ今回は、サネも一緒に行こうか。パーティのメンバーとして、プリエさんにも紹介しておきたいし。」
前回サリュに行ったとき、サネはお留守番だったからな。あの時は倒れるなんて思ってなかったから、寂しい思いをさせてしまった。
「じゃあ、早速行きましょう!」
タニアさんは、椅子から勢いよく立ち上がった。拳を上に挙げちゃったりして、愛くるしいな。
「タニア、まだ朝食食べてないでしょ?」
「あ、そうでした。」
アイリスに注意されたタニアさんは、静かに椅子に座り直した。ちょっと抜けていて、おバカなところが最高に可愛い。
「カリノ、タニアを甘やかさないでよ?」
「へ?あ、もちろん!」
「ほんとかな?」
アイリスは、笑いながら疑ってきた。私だって、そういうところはちゃんとしてるよ、たぶん。でも、タニアさんにあれしたい、これしたい、と言われたら、なんでもしてしまうかもしれない。あ、それが甘やかすってことか。
「ちんちくりんには、無理そうだな。」
「せやな。」
キキョウとサフラも笑いながら私とタニアさんを見ている。三人はタニアさんのお手伝いさんって言ってたな。まさか、私までお世話の対象になってたりしないよな?
「まぁ、近しいものはあるかもね。」
「えー?!」
「冗談だけどね。」
アイリスがめっちゃ笑ってる。いじわるアイリスだ。そんなとこもいいんだけどさ。
「よし、朝食できた!」
「さっさと食べて、サリュに行こうぜ!」
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