68.対面
フロストが到着する、その声で私たちパーティの空気感が重くなった。周りの空気とは全く違う。私たちだけの空気。ギルドにいる人たちが入口の前に集まり、道のようになっている。そして、お疲れ様の声とともにフロスト達が現れる。いざ目の前にすると怒りが込み上げてくる。
「そんな怖い顔してどうした。」
フロストは何もないかのように、私たちの前で立ち止まる。座っている私たちに対して、ひどく見下しているかのような態度も腹立たしい。
「なぁ、少し前にベーアの巣に行ったか?」
まだ我慢しろ、自分。この質問の返答次第でフロストに対する態度が変わってくる。
「あー、行ったかもな。ベーアかどうかは覚えてない。たいして見ないうちに全滅したからな。なんだ、お前らも行ったのか。そんなに価値もなかっただろう?」
とりあえず、フロストが話し終わるのを待っていた。人が話してる時に遮るのはあまり良くないからな。だけど、私の中では怒りがフツフツと煮立っていた。
「あんな巣穴を討伐したところで、雑魚は居なくならねぇか、」
もう我慢ならなかった。私はフロストの胸ぐらを掴んだ。身長差は二十センチくらいあるだろうか。まぁそんなの関係ない。
「調子に乗るのも大概にしろよ。」
「おうおう、キキョウに似て狂犬にでもなったのかよ。」
フロストは上から煽るように話してくる。こいつの態度が気に食わない。こいつの言葉一つ一つが気に食わない。こいつの全てが気に食わない。
(カリノ、一旦落ち着け。相手のペースにのまれるな。)
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