6.私が世界を救う?!
「世界を救う?!そんな壮大なこと、私には出来ませんよ!」
時間さえあれば妄想しかして来なかった私が、いきなり世界を救ってくれないか、と言われても無理に決まっている。特別なにかを持っているわけでもない。たまたまこの世界に転移されて来た、女子高生だ。
「あなたの力が必要なのです。」
「なんの事か分かりません!私は偶然この世界に来た身です。そもそも、なんで私なんですか。他にもっと人はいるでしょう。」
そうだ。私は、ここへ来たばかりで何も知らない。もっとこの世界について知っている人がたくさんいるはずだ。何も知らない人よりも適任だろう。
「はぁ、誰でもよかったら、お前みたいなちんちくりんなんて連れて来ねぇよ!」
「落ち着けってキキョウ。なぜぼくたちが君を待っていたのか、ちゃんと説明するよ。」
きちんとした理由があるのか。アイリスさんがいてくれて助かった。キキョウさんは気が早いし、タニアさんは口下手、サフラさんは笑って楽しんでいるだけ・・・。ほんと、この人たち何なんだ?
「まずはこの世界のことから。この街並みだけ見ると、何不自由なく生活出来ているように見える。
だけど実際は、ここは城の周りだからってだけ。少し外へ出ると景色が一変するんだ。」
見えているものが全てじゃないということか。でも、そんな場所を救うなんてこの人数じゃ難しいはず。
「いろんな理由で困っている人がいる。水不足だとか、地形変動だとか。そこで能力を使って人々を助けるギルド、ベルグングっていうのがあるの。」
「この世界には能力者がいるの?」
「お前もその一人だろうよ!」
いつから私は能力者になったんだ?そんな簡単になれていいものなのか。
「で、そのベルグングにはそんな問題をできるだけ解消できるようにクエスト方式になっている。そのクエストが達成出来れば、報酬ももらえる。ただ、ベルグングの正式なグループになるには最低でも五人必要になるの。」
「そこでカリノさんの力が必要なんです!」
「おっと、決めて言いたかったところを持っていかれちゃった。」
この世界についてはなんとなくわかった気がする。
私が入ればちょうど五人。ベルグングの正式なグループとして活動できるようになる。
「この世界のことは分かりました。でも最初にも言った通り、私である必要性は分かりません。」
「まぁまぁ、まだ話には続きがあるよ。どうして君が必要なのか。
君でなくてはいけないのか、ね。」
読んでいただきありがとうございます。
次回は、カリノが自分がなぜ必要なのかアイリスからのレクチャー!