59.番外編 名前
今日で異世界に来て、一週間。色々ありすぎた。昨日も家に帰ったら、ベーアがめっちゃ心配してたし。思えばずっと留守番だったんだもんな。可哀想なことしてしまった。
「ベーアの名前は決めたの?」
「べべなんてどうだ!」
「なんでだよ、ほぼねねじゃないか。」
あの呼び方はキキョウから始めたんだな。ネーミングセンスはなし。
「うちはマシュがいいと思うな。」
「僕はミシェルかな。」
「私はルイがいいかと!」
みんな自由で楽しそうだな。ベーア本人は満更でもないみたいだ。全員でまったりした時間はいいものだな。
「主である、カリノくんはどうなんだい?最終的な決定権は君にあるよ。」
アイリスがおちゃらけて言ってくる。私にはアイリスにヒゲが付いていて、得意げにいじってるように見える。
「んー実はもう候補があるんだよね。」
「お!なんですかな、主!!」
ベーアが急に前のめりになってくる。一緒に四人も前のめりになる。みんな目が輝いてる。なんか、言い出しにくくなる。
「えっと、サネって名前なんだけど。私の居た世界ではこう書くんだ。」
私は机の端にあった、紙とペンを使って「志」と書いた。
「願いとか目標に強い信念を持って進んで欲しいなって思ってさ。もちろん、そのお手伝いもしたいし。」
みんなでベーアを見る。結構がんばって考えたんだけど、ベーア的にはどうなんだろうか。
「どうかな?」
「最高ですぞ、主!」
いきなりベーアが飛びついてきた。いや、サネが、か。
「じゃあ、改めてよろしくね、サネ。」
「よろしくお願い致します。」
言葉が通じなくても、サネの表情や行動が分かりやすいから、みんなも微笑ましく見ている。もっと、サネのことも知っていきたいな。まぁこれから時間はまだまだあるか。
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