56.ギルドのザワつき
ギルドが少しザワつき始めた。みんなプリエさんをチラチラと見ている。雰囲気悪いな。
ガタッ
「おやおや、プリエじゃないか。久しぶりだね。」
なにやらチャラついた男が私たちの席に座った。その男はプリエさんの髪を触る。
「おいコラ!ねねに触んじゃねぇ!」
さすがにキキョウも怒っている。男に飛びかかろうとしたが、プリエさんが止める。
「なにか話があるんだろ?」
「あぁ、もう一度僕たちのパーティに入って欲しいと思ってね。」
プリエさんがパーティに?ガーベを持っていないんじゃ。
「私はもう、どこのパーティにも所属する気はないよ。あんたのところなんて、もってのほかさ。」
「なんだと?」
ダンッ!
男は勢いよく立ち上がって、プリエさんを見下していた。その目は仲間だった人に向けられる目じゃない。この目を私は知ってる。昔見たことがある。思い出したくも無い記憶。
「腹立つんだよ。お前みたいな奴がのこのことギルドに来るのが!」
男がプリエさんに殴りかかろうとする。プリエさんは動かない。
ドスッ!
男の拳が当たった音。鈍い音。骨が折れたような音はなかった。でも、十分痛い。
「なんだよ、お前、」
私は咄嗟に二人の間に入っていた。鈍い音は男の拳と私の顔がぶつかった音だ。男を睨む。異世界だとはいえ、人に手をあげることは許されない。
「今、プリエさんを本当に殴ろうとしたんですか?」
「あ?そうだよ、この僕が裁きの、」
「何が裁きだよ、正義ぶってんじゃねぇぞ!」
思わず体が動いて、思わず言葉にしている。正直、この怒りは簡単に引っ込みそうにない。
「プリエさんが何をしたかなんて、私は知らない。でも、裁きとか痛いこと言ってるってことは、過去にプリエさんが暴力をしたわけじゃないんだろ?」
「まぁそうだ、プリエに暴力をされたわけじゃない。てか、さっきから何なんだよ!お前に関係ねぇだろ?!そいつは殴られて当然のことをしたんだよ!だから、!」
(プリエさんは何もしていません。ガーベを持たないがため、その大きな知識を持つがゆえに。)
誰の声だ。聞いたことがない。視線だけ少し動かしてみる。すると、男の後ろにいるガヤの中にいる女の人が全力で首を縦に振ってる。
(そうです、わたくしです。過去にその男とプリエさんと同じパーティにいました。私は解雇されてしまいましたが、。どうか、プリエさんを助けてあげてください!)
アイリスと同じようなガーベの持ち主か。そうですね、あなたに言われなくてもそうするつもりです。
読んでいただきありがとうございます