53.退院
次の日
「あーやっと外に出れたー!」
時間が経つにつれて、座ったりできるようになったけど、ずっとベッドは正直きつかった。引きこもりだった私が外に出られてこんなに喜ぶなんて。
「退院おめでとう。」
「うん!」
今の私、すごい笑顔だと思う。最高の気分だ。
「それで?なんのためにここ来たんだ。」
「特に何かあったわけではなくて、この街を案内してて。プリエさんには、お世話になることがあるでしょうから。」
「なるほどな。そうだ、まだちゃんと自己紹介してなかったな。」
見た目はお姉さん、って感じだ。いくつくらいなんだろうか。
「カリノ、その話はプリエさんにはタブーだよ。」
アイリスがコソコソと話してくる。タブーってことは、少しでも気にしてるのか。
「おいアイリス、何か言ったか?」
「いえ、なにも?」
「まぁいい。どうも、プリエだ。もう知ってるようだが、この雑貨屋サリュでマスターをやっている。こんな暗い場所だし、知る人ぞ知るって感じだ。私はガーべが使えない。とりあえず、そんなところか。」
自分の話を淡々としていった。表情が一切変わらない。でも、怒ってるって感じはしない。
「カリノは質問とかないの?」
「えっと、じゃあみんなのご関係は?」
そこはあまり踏み込まない方がいいだろ!自分でもわかってるのに、なんで言った。たしかに気になりはするけどさ。
「三人と知り合ったのは、色んな事情があったからだが、」
ほら、やっぱりそうじゃんか。知り合って六日目とか二日目のやつに教えることじゃないんだって。でも、今三人って言った?
「キキョウは私の妹だよ。」
「え?」
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