48.二人きり
一日自由。アイリス、キキョウ、サフラは早々に出ていってしまった。残されたのは、私とベーア、そしてタニアさんだ。今さらながら、ドキドキしてしまう。
「カリノ、今日どうするんですか?」
タニアさんが私の顔を覗き込んで、手をふっている。なんですか、このかわいい生き物。抱きしめたい、けど引かれそうだからやめる。
「この世界のこと、まだよくわかってないんで何をしようにも、」
「あ、そうでしたね。前の世界の休日は何してたんですか?」
う、痛いところをつかれた。ゲームとかアニメ、マンガって言ってもこの世界にはない。推しみてデレてました、なんて言えるわけない。きっとタニアさんに嫌われて終わってしまう。
「部屋でゴロゴロしてましたね」
「そうなんですか?!今のカリノからじゃあまり想像できませんね。」
タニアさんの目には私がそんなによく映ってたの?!ますます本当のこと言いずらくなった。でも、確かにこっちの世界でだらけた自分って、出てきてないな。
「カリノに用事があるなら、と思ったけどないようだから、アイリスが言ってたように私とお出かけしませんか?」
え、まじ?さっきアイリスが言ってたの冗談だと思ってた。タニアさん本人の口から出たってことは、冗談じゃないよな?いや待て、タニアさんはタニアさんだ。アヤメじゃない。落ち着け、東条カリノ。
「いいんですか?」
「もちろんです!前からカリノと二人きりで話してみたかったんです!」
タニアさんは満面の笑みで言う。心臓を撃ち抜かれた気分だ。私の心の中では、二人きり、という言葉がループされている。もう一回死ぬのかな、ありえるな。幸せすぎる。
「じゃあ、ぜひおともさせてください。」
タニアさんは、嬉しそうにぴょんぴょんはねている。かわいいなぁ。
「これは、あれですか。巷で言う、デートというやつですか!」
目を輝かせながら言う。なんだ、デートだと思っていいのか?!というか、デートする前に死にそうだ。妄想の中の私は、血を吐いて気絶している。タニアさんの前では、平常心でいないと!
「デートとはまた違うんじゃないですか?ほら、デートっていうのは好き同士の二人がお出かけすることですし、」
私の理性を保つためだ、デートは否定させてもらう。
「私たちは、好き同士じゃないんですか、?」
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