4.推し登場?
まさかの推し登場?!
ちょっと待って。推しに手握られてるとか、死んじゃいます!
二次元だから妄想だけで終わりだったのに、目の前にいらっしゃる。
これは、あの天使様に感謝するしか・・・
「アヤメ?それは誰のことを言っているのですか?」
「え?」
ただただ、そっくりってだけ?危うく変に妄想するところだった。
別人だったとしても、この可愛さは反則だ。
それにしても、私が妄想によって荷物を取り上げたと知ったときの反応。なにか知っているような感じだった。
「私の名前はタニアよ。あなたは?」
「東条カリノです。」
「トウジョウ?」
「あ、カリノで大丈夫です。」
この世界には名字の概念が存在しないのか。
タニアって、あまり聞かない名前だな。言葉は理解できるけど、街並みといい、本当に日本とは別世界なんだな。
まさか、別世界から来たなんて言ったら驚かせてしまうだろうから、
「あの、この世界について友達と調べ直してみよう!ってなったんですけど。なにか情報ないですか?」
なにが友達と調べ直してみよう!だ。
明らかに街を歩く人たちとも服装が違うし、名前も変だし。
完全に怪しい人じゃないか。
「嘘ですよね?」
ほーら!やっぱり!!こんなの信じる人がおかしいよ。
「あ、はい。すいませんでした。えっと、私、元いた世界で色々あって、この世界に転移されてしまったんです。とはいえ、なんの情報もないので誰かに教えてもらおうと、」
「なら、私について来てください。」
「え、いいんですか?」
「あなたは恩人です。それに、もう少し聞きたいこともあるので。」
恩人か。なかなかに良い響きだな。
もう少し聞きたいことって言うのがすごく気になるし、タニアさんにとってもプラスになるなら是非ついて行こう。
これからどうなるのか、不安は山々だけど、なんとかなる!って思っている自分が少し怖いな。
(ていうか、部屋で着てるジャージのまま来たから、少し寒いな。
パーカーとかあったら暖かいだろうな。)
「うわっ!!」
パーカーがあったら。そんな小さな妄想をすると空からパーカーが私の上に降って来た。私好みの良いパーカーだ。
どこから落ちてきたのか。そんなことを考えるが、明らかに新品だったのでそのままそのパーカーを被った。
思った通り、いい感じに暖かい。
妄想が現実になるって、今までなかったな。
なんか、ちょっといいかも!
―――――このときのカリノは、自分の妄想によって振り回されることをまだ知らないのである。
読んでいただきありがとうございます。