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妄想大好きオタクの私が異世界最強になれるってほんとですか?!  作者: 志波ゆき
第四章 この世界の相棒
39/128

39.道中

どれくらい歩いただろうか、オタクながらそこそこ体力には自信があったんだけど。


「すいません、もう、無理です。」


ドサッ!

真横を歩いていたタニアさんが倒れた。いや、さっきからゼェゼェ言ってたけど。大丈夫か聞いても、ずっと平気だって。嘘ついてたってこと?人ってよくわかんないな、


「大丈夫ですか?!」


私はタニアさんを抱えた。こんなになるまで黙ってたなんて。


「きっと、迷惑かけたくなかったんだよ。このクエストでカリノはキーになるから。」

「お嬢なりの優しさだな」


そうだったのか。タニアさんなりにちゃんと考えて。そっと頭を撫でる。


「くすぐったいです、カリノ。それに汗たくさんかいてますよ。」


タニアさんは私の腕の中で目を覚ましていた。すごく心配した。前から倒れていったから、打ち所悪かったらって。


「いいんですよ。おでこ擦りむいちゃいましたね。」


(消毒液とガーゼ、絆創膏を)


よし、これで軽く手当をしよう。


「ちょっとしみますけど、じっとしててくださいね。」


まずは、ガーゼに消毒液を垂らしてっと。タニアさんのかわいい顔に傷できちゃったな。傷痕できないといいんだけど。


「ギィーーーー」


タニアさんから聞いた事のない声が出た。消毒液がしみたのか。これ、結構痛いよな。


「全然ちょっとじゃないです!」


タニアさんは起き上がって私に言った。そんなに痛かったか。


「すいません、でもバイ菌を消毒しないと」

「その道具でそんなことできるのか。」


横からスっと出てきたのは、アイリスさんだ。この世界には、消毒液がないのか。


「消毒液か。うん、この世界には、ないね。こっちでは、ドクターによるガーべで治療とかされるんだよ。」


なるほど、治療中の痛みはほぼないんだ。いいな。私もこっちで生まれたかった。痛いの嫌じゃん。


「もう、その痛いのしませんか?」


タニアさんは少し涙目になっている。心が痛む。


「はい、もう痛くしませんよ。大丈夫です。最後にこれを貼っておきましょう。」


絆創膏を箱から取り出し、タニアさんの額に貼り付ける。三人は物珍しそうに見つめる。


「これはなんや?」

「テープ、ではないよな」

「これは絆創膏っていうもの、傷口にバイ菌が入らないようにするんだよ。」


タニアさんは額をポリポリする。ほんとに子どもみたい。かわいいな。


「傷痕にならないように、帰ったらガーべで治してもらってください。」

「わかりました、ただ歩けそうにないです。」


タニアさんが少し俯いて言った。


「置いていく訳にもいかないですし、どうぞ」


タニアさんの前に背中を向けてしゃがみ、おんぶを促す。歩けないならこうするしかない。咄嗟の時にキキョウには動けて欲しいし、判断力のあるアイリスは周りに集中して欲しい。サフラの場合は、ただ不安だ。


「そんな、悪いですよ!今回のクエストはカリノがキーなんだし、」

「そんなこと気にしてたんですか?私のガーべは身体を使わないので大丈夫です!」


アイリスの言う通りだったか。迷惑なんて思わないのにな。むしろウェルカムって感じ。


「じ、じゃお願いします、」


私はタニアさんをおぶって、また前に進み始める。


「ねぇ、あとどれくらいで着く?」

「そうじゃな、あ、あの森じゃ。」


お、もう少しじゃないか。ほんとに大丈夫なのかな。


読んでいただきありがとうございます。

前話からだいぶ期間が空いてしまいましたが、またちょくちょく書いていこうと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 頑張ってください。 タニアかわいいですね。
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