38.ベーアがしゃべった?!
「そうそう、わしじゃよ。譲ちゃんの目の前にいるベーアじゃよ。」
は?ベーアってしゃべるの?だって、クマだよ?そんな、夢の国じゃないんだからさ。
「カリノ、その声ってベーアなの?」
「うん、ベーアがしゃべってる。」
「へぇ、主にしか聞こえないとか、そういうのかな。にしても、ベーアに懐かれた人なんて聞いたこともないよ。」
そう言いながら、アイリスは少しベーアに近づき、見上げていた。ほんとうに珍しいことなんだ。他のメンバーもベーアを見上げていた。
「私たちは会話できないのでしょうか?」
「そんじゃな、心が繋がった者だけだと認識しておる。」
私は、ベーアが言ったことをそのままメンバーに伝えた。ベーアはそりから降りてしまったら、また凶暴化してしまうのだろうか。今は寒さで大人しいのだろうか。
「心を繋がらせる相手を見つけたら、凶暴化はせんよ。」
「でも、他のベーアは凶暴化しちゃうよね?君の仲間を傷つけることはしたくないな。」
心からそう思った。第一、このベーアの凶暴化を止められたのも救いたいと思ったからだ。出来る事なら、討伐などしたくない。
「わしに任せろ。わしはこの辺りのベーアの主じゃ。」
「でもそれじゃ、食料が」
「基本ベーアは何も食べなくても平気なんじゃ。たまにちょっと豪華なものが食べたくて、狩りに出る。でもそのまま戻って来なかったりな。それと、少しは外で遊びたい気持ちもあるんじゃよ。帰って来なかった者は皆、勝手に外へ行ってしまった者たちだ。」
ベーアたちもなりたくてなっているわけじゃない。それに、今の話を聞く限り人が勘違いしているところもあるんだ。心を繋げることが出来ないから。他の討伐対象も勘違いがありそうだ。
(ベーアの周りにある氷をすべてなくす。)
「おい!そんなことして大丈夫なのかよ?!」
「うん。心が繋がったら凶暴化しないんだってさ。このベーアは平気だよ。」
「それで?巣穴に行くんだろ?」
「うん。」
キキョウ、サフラ、タニアさんの3人は少し驚いた顔をした。そりゃそうだ、凶暴化しているベーアがたくさんいるかもしれないのに。
「怖かったら、先に戻っててもいいですよ。」
「そんなこと絶対にしません。約束しました、ずっと側にいると。」
私はタニアさんの真っ直ぐな眼差しにドキッとした。それがなんの音なのかは、わからない。だけど、心の底から嬉しかった。
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