32.初めての添い寝
ギルドを出たあと、キキョウやサフラ、アイリスと初めて会った場所に連れてこられた。まだそんなに時間は経っていないのに、久々な感じがした。
「ここにカリノの部屋も置いたんだ。よかったら使って」
「え、ありがとう。この一部屋全部使っていいの?」
「うん、カリノだけの部屋。」
異世界に来て、こんなにいい暮らしが出来ると思わなかった。野宿とか覚悟してたのに。
「カリノもこの家に招待出来たことだし、今日はもう解散!また明日!」
そうして、各々自分の部屋に戻った。私も特に荷物などはないので、木刀だけ窓際に立てかけた。その後は、布団へダイブ。明日は、何時に起きればいいのだろうか。まぁ、遅かったらアイリスさんが起こしてくれるだろう。
コンコン。
「はい、なんでしょうか。」
「あの、私なんですが」
ドアの前には、枕を持ったタニアさんがいた。このシチュエーションもいつかの妄想でやったことあるな。
「い、一緒に寝てくれませんか?」
ちょっともじもじ恥ずかしそうに言ってるのが、可愛すぎる。
「あ、え、ど、どうぞ」
まさかの添い寝イベント!!!学校の宿泊行事も出来るだけ人と離れて寝ていたから、この距離は初めてだ。やばい、すごく緊張する。タニアさんの手が!顔が!背中に触れてる!心臓バクバク言ってるけど、タニアさんに聞こえてないかな?てか、私このまま寝れるかな?
チュンチュン、チュンチュン
結局、一睡も出来なかった。ずっとタニアさんの寝息を聞きながら、7時間ぐらいを過ごした。でも、心が穏やかになっている気がする。タニアさん、いいBGMでした。
「カリノ朝だよ。朝食準備してるから、30分後ぐらいまでには降りてきて。お嬢がいないんだけど、見つけたら言っておいて。」
「うん、わかった。」
ここにいるって言えばいいのに。なんで言わなかったんだよ、私。まぁ、アイリスならこの心の声で気がつくだろう。
「タニアさん、起きてください。もう朝ですよ。タニアさん。」
私は、タニアさんの肩を軽く叩きながら言った。もちろん、起こすときにはタニアさんの方を向かなくてはいけないので、必然的に寝顔が見えた。猛烈にかわいい。
「まだ、あともう少し・・・」
「そんなに時間ないですから、起きてください。」
繰り返しても、ずっとゴニョゴニョ言っている。そんなとこも可愛いけど!でも、起こさないとアイリスに怒られそう。
「タニアさん!起きてください!」
「んん、私は、絶対に、帰りませんから・・・」
帰らない、ただの寝言だよな?
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