28.一番の実力者フロスト
「続いては、このギルドで一番の成績を誇るパーティのリーダー!フロストだー!」
一番の成績、一番強いってことになるのかな。
「そうだね。今のところ一番の実力者はフロストだよ。」
少しだけ四人の目が変わった。フロストって人となにかあるのかな。まぁ、あってもなくても一番だと言われる人のガーベは、盗みがいがあるな。
「・・・。」
あれ、何も話さない。緊張してるのかな?フロストは、何も言わずに右足を踏み込んだ。すると、氷の壁が頭上に広がっていった。とても大きくて、メキメキと音を発している。フロスト本人を見てみると、冷気が出ていた。そして、足の力を緩めた。それと同時に氷は消えていった。ギルドは今日一の歓声が上がっている。
「やっぱり、フロストはすげぇな。」
「そうですね。」
キキョウとアイリスさんが小さく声を出した。周りは歓声を出しているが、四人だけは目が違っている。やっぱり、なにかある。だけど、今は知ることが出来ない。でも、私の中で目標は出来た。あのフロストを超えて一番になる。ただのオタクでもやれば出来るはずだ。
「カリノ、そういう事なら全力で協力するよ。」
「じゃあ、約束するよ。必ず一番になるって。このパーティみんなでね。」
私は、アイリスとアイコンタクトをした。二人してクスッと笑いまたステージ上を見る。すると、ステージにいるフロストがこちらを指差している。
「ジシバリ、あいつをステージ上に持って来い。」
周りにはたくさんいるから、自分ではないと思っていた。でも、私は光を放つ何かに掴まれてしまった。
「え?!」
そのまま私はステージ上に立たされた。何が起こってるのか分からない。初めましての人にお呼ばれされてしまった。近くで見ると、目が鋭くてすごく怖い。それこそ、キキョウの何倍も怖い。すると、私を掴んでいたものは、外れていた。
「お前、これを見るのは初めてか?」
「は、はい。最近この街に来たばかりでして、」
「なぜ驚かない。」
「は?」
「この世界に我々を知らない奴はほぼいない。ステージ上に呼ばれ、なぜ驚かない。」
驚かないって言うよりは、怖すぎて恐怖心の方が勝ってるんだよな。私、悪いことしちゃったのかな。なんかされるのかな。
「もういい。お前のガーベを見せろ。」
「は、はい?」
「いいから見せろ!」
「そ、それじゃあ、毎回クオリティの高いフロストの次は最近ギルド登録したばかりのお嬢ちゃんだ!!」
勝手に話が進んでしまっている。やれと言われても、何を出せば。
(不安に思わなくてもいい。パッと思いつくもので大丈夫だ。カリノのことを知ってもらえるチャンスだ。お嬢もきっと大丈夫だと言っている。自分を信じろ。)
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