27.ガーベ発表会
「よっしゃー!じゃあ、これから始めて行くぞ!!」
その掛け声と共に周りからも歓声が上がる。なんの事か分からずにあたふたしているのは、私だけだ。一人の男がセンターに立つ。さっき叫んでいた人だ。
「今宵もやってくぞー!!!俺の周りを特設ステージとする!!」
すると、その男の周りが段々と高くなっていった。高さ1メートルで直径3メートルほどのステージだ。そのステージで何が行われるのか。
「ねぇアイリス、何が起こってるの?」
「見てれば分かるって!ほら、最初はあの男性だ」
アイリスの目は輝いていた。私に見せるというより、アイリスが見たかったんじゃないか?そう思いながらもステージの方に視線を戻した。
「最初は、オレからだ!派手に咲かせろ!!」
その瞬間、色んなところから花火が上がった。それと同時に炎の渦が回っている。室内で花火を見ることはないが、これはこれでとてもきれいだ。
「これってガーベだよね?」
「そう!今始まったのは、ニヶ月に一回の恒例行事、ガーベ発表会だ!」
「もうちょっといいネーミングなかったの?」
「誰が始めたか分からないけど、みんなそう言ってるよ。」
ネーミングセンスに違和感は残るが始めた人は、陽気な人だったのだろう。ほとんどの人は、お酒を飲んでいる。ガーベを発表するのも順番とかはなさそうだ。私のように複数型ガーベの人は、いい機会になる。様々なガーベが見れるから、自分のものに出来るかもしれない。いい勉強になりそうだ。
「そういえば、発表している人は想像を叫びながらやってるけど、それもありなの?」
「全然ありだよ。パワー系のガーベだとその方がよかったりする事が多いよ。」
「それはなんで?」
「声を出した方が力が入りやすかったりするだろ?同じような事さ、叫んだり、声を出すことでより強力なガーベを出そうとするんだよ。」
なるほど。細かい指示は頭の中ですれば、相手に読まれることはない。想像だけで力を出すのではなく、行動でもってことか。ガーベって、簡単だと思ってたけど、力加減とか難しそうだな。
「さっきの炎のやつも下手するとギルドが燃えたり、けが人が出るからね。」
「その辺もガーベ発表の人が調節してるの?」
「それは、君のように複数型の人じゃないと無理かな。」
「じゃあどうやって、」
「ギルドの従業員さんがやってくれてるんだよ。ギルドで働いている人のガーベには、被りがあまりないんだ。だから、それぞれの仕事がある。一番安定している仕事だと思うよ。なるのは大変だけど。」
なるほど、ちゃんと安全は考慮されているんだ。まだまだ続きそうなこの発表会。二ヶ月に一回なら、見逃すわけにはいかない。
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