19.ハーゼ料理と質問コーナー
「うんま!!!」
なにこれ!今まで食べた肉で一番近いといえば、鶏肉だけど断然ハーゼ肉のが美味しい。油に少し甘みがあって、パリパリしてるけど柔らかい。でも、何かを付け足したら、もっと美味しくなるような、
(あ、そうだ。塩コショウをこのお肉に少しかけたいな)
何もないところから、塩コショウが少しだけかけられた。そのお肉を一口。お!塩コショウめっちゃ合う!この世界には、塩コショウはないのか。こんなに美味しいのにな。
「どれどれ、僕にも食べさせてくれよ」
私の手元にあった肉を無理矢理食べられた。日本人の味覚ではなく、この世界の人の味覚的にはどうなんだろうか。
「ん!これは美味しいな。でも、この味は生まれてから食べたことないな。」
そうか、ないのか。食べる度にガーベを使うのも何だかな。
「それは入れ物で出せないのか?」
「出せると思いますが」
「それを調味料の専門家に見せれば、色々調合して作ってくれるかも。」
(塩コショウを入れ物ごと出して)
「これでいいですか?」
「ありがとうね。これを渡せば、研究はしてくれると思うよ。」
「でも、どうやって渡すんですか?」
「ギルドでは、特定の場所になら物を届けてくれるサービスがあるんだよ。」
なるほど、郵便局みたいな役割もしているのか。アイリスさんは、後で行っておくよ。と言い、三人と目を合わせアイコンタクトをしてから肉を頬張った。四人それぞれがいい反応をしている。アイリスさんが私の肉を食べたときは、ズルいみたいな目してたのに、もうその面影はなかった。
「うち、こんな立派なハーゼ食べたの久々だよ。」
「それは、全員そうだろ!」
「カリノさんは、初めてですけどね。」
みんなすごく楽しそうだ。こんな笑顔が見られるなら、なんでも出来そう。何かもう、推しに費やすぐらいの勢いになりそうだ。推しのためなら、なんでもする。学生ではあったが、本職は推し事だ。でも待てよ、この世界じゃそれが出来ないんじゃないか?そう考えたら、考えるのを放棄したくなり、テーブルに頭を伏せた。
「なぁ、ちんちくりんはここに来る前、何してたんだ?」
「え。あ、普通の学生だったよ。」
本職が推し事なんて、言える訳ない。ここは、隠し通さないと。
「普通って何だよ」
「私も気になります!カリノさんが何をしていたのか!!」
これは、マズイことになったような気がする。
「君の予想している通りだよ。この二人は気になりだしたら正解が出るまで、質問攻めだよ。」
やっぱりマズイじゃん、どうしよ。
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