17.疲れを癒やす場所
「ここがこの街の銭湯です!!」
ここでもタニアさんが一番に張り切っている。
「アイリスさん、やけに元気ですね。」
「温泉なんて久しぶりですから!」
私が最後に温泉に行ったのは、中三の頃かな。修学旅行で行った以来だ。まぁ温泉に入っても妄想三昧だったけど。そういえば、何の妄想してたんだったかな、
「カリノ!早く行きましょう!!」
思い出したらまずい気がするし、考えるのはやめにしよう。ここもギルドとまでは行かないが、なかなかに立派な建物だ。栄えているというのがよくわかる。みんなで脱衣所に入り、服を脱ぐ。タニアさんとアイリスさんは、平均といったところか。サフラさんは意外と小さい。キキョウさんは・・・。ん?!あんなに狂犬みたいな男っぽい性格してるのに、一番スタイルがいいじゃないか。着やせするタイプだったんだな。
「さぁ、行こうぜ!」
あぁ、キキョウさん。せめて前は隠して行きましょうよ。みんなで横並びに座り、桶に溜めたお湯を頭の上から流す。これだけでも十分気持ちいい。各々全身を洗いお湯に浸かりに行く。
「あぁ、やっぱ温泉は気持ちいいな。風呂とは全然違う。」
「こら、キキョウ。足は閉じなさい。お客さんが少ないとはいい、女の子なんだから。」
アイリスさん、ナイスです。キキョウさんも大人しく足を閉じた。にしても、ほんとに懐かしいな。あ、そうだ。修学旅行のやつ思い出した。妄想のし過ぎで倒れたんだ。あの時は、今とは別の推しだった。あとは、推しカプで妄想するのではなく、自分と一緒に生活しているように妄想していた。他の人はどうか分からないが、自分としては昔のほうが痛かったと思う。
「へぇ、カリノは変わった子だったんだね。推しっていうのがよく分かんないけど。」
「アイリスさん!やっぱり私の思考を読まないでください!」
「えー?だってカリノの思考が一番面白いんだもん」
「体力の無駄遣いです!」
「残念!特定の人に使い続けると体力が減らないようになるんだよ。本番の時にごっそり持っていかれないように訓練だよ!」
言い返せなくなった。これで読まないでくださいって言ってしまうと、本番のクエストになった時に迷惑をかけてしまう。それだけは、何としてでも避けたい。
「物分かりがいいみたいでよかったよ。」
「地味に面白がってませんか?」
「そんなことないさ」
絶対面白がってる。とは思っても、もう何も言えない。そんなやり取りをしている間もタニアさんとキキョウさんは、小学生みたいにはしゃいでいる。やはり、サフラさんはニコニコだ。温泉にもだいぶ浸かっていたので少しのぼせてきた。
「そろそろ上がりますか」
読んでいただきありがとうございます。