13.カリノのガーベ
対人がダメか。でも、知能系の三人とかぶらなくて良かった。キキョウさんのようなパワー系は何人いてもいいけど、知能系は役割があるから多すぎてもバランスが悪くなる。なんか、元の世界でオタクやってて良かったな。
「命がないものは移動できますか?」
「いいものありますかね?」
「あの木とかどう?命が無いわけじゃないけど、人ではないし。力試しにちょうど良さそうじゃない?」
木って、めっちゃ大きいじゃん。根もはってるだろうし。ものは試しってこと?
(あの木を空中に浮かしたい)
そう想像すると少し地面が揺れた。すると想像した通り、大きな木が土を落としながら空中に浮いていた。うそ・・・。ほんとに出来ちゃった。どうしよう、この木。
「その木をどうしたいかは、君が決めな。」
「え、そんなこと言われても。じ、じゃあ」
(この木を使って、私の武器を作りたいな。んー、無難に剣とか)
その木は空中で分解し、中心部から剣が出てきた。そして、私の元へと降りてきた。なかなかにしっかりとした作りだ。私は、手に馴染ませるように素振りをした。さすがに振り回すには重いかな。
(もう少し軽くしたい)
微調整をするように木くずが舞った。もう一度素振りをした。こんなものだろう。ガーベを使いこなすことは出来てるかな。木が動かせればかなり良いのではないか。
「そうだね。今のはびっくりしたよ。ガーベ使いはじめの子がここまで出来るとは思わなかった。まぁ、後は実戦でどうにかなりそうだね。」
「そうなんですか?実戦って、ハーゼですか?」
「まぁそうなるね」
ただのオタクだった私がウサギを倒すなんて。そんな可哀想なこと出来ないよ。
「あ、そろそろじゃない?」
「よし!行くぞ!」
タニアさんとキキョウさんが走り出した。あんなにはしゃいで大丈夫だろうか。
「ごめんね、やっと出来るクエストだから嬉しくて仕方ないだよ。」
その気持ちはよく分かる。私もすごくやりたかったゲームが発売すると、即やり込んでクリアさせてたから。新しいものに出会う瞬間って、すごくドキドキするんだよな。
「僕たちも行こうか。」
アイリスさんが私とサフラさんの手を取って、二人の元へ走り出した。すると、二人は立ったまま動かなくなっていた。
「どうした・・・」
「すっげーーーー!!こんなにいるぞ!狩り放題じゃないか!今晩はハーゼ料理だー!」
私も二人から前方へ視線を移す。私はもっと小さいものだと思っていた。簡単だからって、持ってきたクエストだったから。
「え?」
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