12.初クエストへ
クエストへは、徒歩で行くらしい。タニアさんとキキョウさんを先頭にして、街を出る。門を出るとそこには草原が広がっていた。
「外はこんな感じなんですね!」
「そうだよ。街と街が離れているから、水不足とか地形変動とかを認知するのが難しいんだ。」
そうか、だからクエスト登録して助けを求めるのか。でも、急なときとかはどうするのかな?クエスト登録して、ベルグングメンバーを待っている間に大変なことになったりしないのかな。
「その点は平気だよ。急な場合は緊急クエストとして扱われたり、報酬が多く出されたりするんだよ。」
「なるほど。というか、アイリスさんって物知りなんですね。この世界のことやら色々教えてくれるのは全部アイリスさんですし。」
「あぁ、それはガーベのせいでもあるんだよね。ガーベが宿ってすぐの時は力をうまく制御出来なくてね。色んな人が考えることを読み取っていたんだ。まぁ、後はこんなメンバーだからさ、ね?」
少し苦笑いをしながらアイリスさんは言った。確かにこのメンバーなら、事前に調べたりする人はアイリスさん以外いないだろう。にしても、ガーベは生まれたときからあるものではないのか。ものによっては、辛いことを経験しそうだ。
「おい、お前はどんなのが使える。」
「え?いや、自分でもよく分かってないです。」
「なら、こんな試しに適している土地なんてそんなにないぞ!」
確かに、この草原なら、もし暴走してしまっても大勢の人に迷惑かけることはなさそうだ。ただ、試すって言われてもな。そもそも何があるのか知らない。
「じゃあ、まずは対人ガーベを試してみるかい?人を移動させたり、感情を操ってみたり」
「そうですね、色々やってみたいです。」
そうと決まれば、まずは移動型かな。でも、負担が大きかったりしないか不安もあるけど。出来るだけ具体的に、小規模で。
(タニアさんを100m移動させる)
・・・。
何も起こらない。複数型と言っても、出来ないこともある。でも、何ができないのか、規則性があるのかどうか確かめておく必要がある。
「対人移動が出来ないとなると、次は洗脳型だね。」
「分かりました。」
(キキョウさんが甘えん坊になる)
・・・。
やはり、何も起こらなかった。私のガーベは対人には向かないのかもしれない。そうなると、命あるものじゃなければいいのかな。物が操れることは分かっている。だったら、それがどこまでの範囲なのか。確かめないといけない事は、まだまだありそうだ。
「こんな感じで地道にやって行こう。」
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