11.本格始動
「はい。それでは、登録が完了しました。これからベルグングとしてクエストをこなし、頑張ってください。」
これで正式にベルグングへ所属となった。とはいえ、私はまだ何も理解していない状況なので四人にしばらくは任せっきりになってしまうだろう。私も役に立てるように頑張ろう。
「正式に所属になったわけだけど、どうする?カリノのガーベを試しに、簡単そうなクエストでも行ってみる?」
「それがいいと思う!」
やはり、タニアさんは目を輝かせながら言う。登録が終わってから、ずっとソワソワしている。
「簡単そうなやつあったぞ」
行動が一番早かったのはキキョウさんだ。よっぽど嬉しかったんだろうな。やばい、口元が緩んでしまいそうだ。
「なんだよ、にやついて。」
「あ、ごめんなさい。行動が早すぎて、楽しみだったのかなって」
「う、うるせえな!」
あ、これ図星のやつだ。やっぱり、キキョウさんは狂犬のようなところもあるけど、案外かわいいところもあるらしい。でも、まさか顔に出てしまったとは。傷つけてしまったかなと思い、キキョウさんの方を見てみるが嬉しそうな顔は変わっていなく、安心した。
「うん、これなら簡単そうだし、カリノの力試しにもちょうどいい感じだね。」
「どんなクエスト何ですか?」
「ハーゼの討伐だよ。」
「ハーゼ?」
「うーん、耳が長くてピョンピョン跳ねる哺乳類?」
あ、ウサギのことか。この世界は所々わからない単語が出てくるから少し困るな。でも、ウサギを討伐なんて、かわいそうだな。
「ハーゼはよく、農作物を荒らしたり人を襲ったりするんだよ。繁殖力がすごいからたくさんいるし。」
「だから、討伐してギルドに持ってくると報酬がもらえて、そのハーゼを調理してくれたりするんだよ。」
ウサギって、人襲うのか?人に飼われてるイメージしかないから、食べるって考えると、だいぶしんどいな。
「カリノのとこにいたのは、飼われていたの?こっちの世界じゃ考えられないね。」
「どうして?」
「まぁ、実際に見るのが一番いいよ。じゃあ、このクエスト申請して来るね。」
そんなに凶暴なのか。なんか、急に怖くなってきたな。大丈夫かな。簡単って言ってたし、いきなり死ぬとかないよな。みんなが今どんな顔しているのか気になったので、顔を上げてみた。相変わらずタニアさんとキキョウさんはソワソワしている。サフラさんはやっぱりニコニコしている。緊張感は欠片もないって感じだ。
「よし、申請できたから、初クエスト行きますか!」
読んでいただきありがとうございます。
次回、初クエスト!