104.レザン救出作戦
四人がそれぞれの行動を始める。アイリス、キキョウ、サフラは屋敷内にいる人達の避難誘導へ、トラウベはレザンの後方で様子見をしに行った。やはり、四人が動いてもレザンは反応しなかった。これで私が動いたら、作戦決行になる。
「よし。」
私はゆっくりとレザンの前に立つ。レザンは、首の動きだけで私を追う。いざ目の前に立つと、本当に私なんかが助けられるんだろうか、と考えてしまう。そもそもの原因が私にあるんだし。でも、やるしかないんだ。力が及ばなくても、今ここで成長するんだ。必ず、成功させてやる。
「レザン!!聞こえてますか。お酒を割ってしまってごめんなさい。私があなたに何かをする権利なんてないだろうけど、周りにも影響が出てしまうので全力で止めさせてもらいます!」
通じているかどうかなんて分からないけど、それでも問いかけはやめない。一瞬でも隙が出来れば聞こえるはずだから。
「姉さん!もういいから、僕にはもうなんの危害も加えられてない!帰ろうよ。」
トラウベの声にも無反応だ。もうやるしかないのか。
「う、、、さい。じ、、、、まだ!!」
その声と同時に、圧を感じる。さっきまでとは、比べられない程の圧だ。何とか避けられるが、ギリギリだ。ワンテンポ遅れたらと考えると、寒気がする。
「くそ。近づくこともできない。」
私は何度かレザンに近づき、攻撃することを試みるが全く届かない。私がまだまだ弱いんだ。
「どいて、トラちゃんは私が守る。お前らなんかに渡すものか!!」
レザンの声がはっきりと聞こえた。
「誰もトラウベを取ろうなんて思ってない!」
「うるさい!!」
くそ、また近づけなかった。
「カリノ!もしかしたら姉さんは、ずっと夢を見ているのかもしれない!」
夢?たしかに、レザンが言っている状況と今の状況が違う。
「姉さんはきっと、過去の夢を見ている。頼む、カリノ。姉さんを助けてくれ。」
トラウベの目には涙が浮かんでいる。
「任せろ!!絶対に助け出すから。」
読んでいただきありがとうございます!




