手続き
ここはラスタレリオン帝国、アスティア王国、北方氏族連合マルルク
これら三つの国の三竦みによって成り立つ大陸の物語
ある日、ある事象を境に現れた遺跡群<ルイン>
それを探索・研究・解明する探検家達の物語
★★★★★★★★★
「では、資格の提示をお願いします。」
真面目そうな風貌の王国騎士がそう言うと、社長は面倒くさげに検問用の長机にバラッと何枚かのカードを投げ出した。
危険物所有者甲種3類、第2種遺跡環境保全技師、アスティア槍術2級認定、特殊化合物取扱者認定…
差し出した資格いずれもが社長を一流の探検家と保証してやまないものばかりである。
資格の人相書きと先生の容姿を見比べ正誤の確認を取る王国騎士。真面目である。
「これでいいか~い?」
「はい。お連れの方もご一緒されるのであれば2種環境保全技師資格か環境保全技師補佐の資格提示をお願いします。」
私も慌てて安物の財布から自分の保全技師補佐資格を取り出す。
「お給料出たらその襤褸切れも新しくしなよ~」
社長から要らぬ指摘を受けてしまった。
★★★★★★★★★
私の名前はシズミー。
エリル探検事務所の数少ない所員にして新人探検家。
数少ないというより、社長の他に所員は私しかいない。
今日は現場研修として社長が今担当している遺跡探索に随伴することになったのだが…
★★★★★★★★★
十数分後、真面目な王国騎士が死角と誓約書のチェックを終え上司に報告すると遺跡門の通行許可が下りた。
「本日はエリル様御一行の他に探索に入っている方はおりません。11日以上未帰還の探検隊は5組、全23人になっております。」
「また1組増えたね~。ガジュのところの探検隊かな?まあいいか。」
遺跡の探索に遭難者という名の犠牲者は必ず発生する。
ガジュなる人物はエリル社長の知己のようだが、まあいいで済ませるあたりこの人は薄情だ。
「ほいじゃ行くよシズミーちゃーん。中の下くらいの苗床にならないようしっかりついてくるんだよ~。」
「は、はい!誠心誠意頑張ります!」
私は元気よく答えると社長と共に遺跡の闇へと歩を進める……