1
小説を書くことが初めてなので、拙いですがのんびり頑張ります。
よろしくお願いします。
遠征に出て今日で3日目。収穫はまずまずといったところかな。
定期便でカラズの街からアサドの村まで1日、そこから数時間かけて徒歩で南に向かえばいつもの探索スポットだ。
おそらくかなり昔に大型船あたりが墜落したのだろう、錆びついた大きな古い鉄骨だけが残されている。ここはもう価値がありそうで持ち帰れるものなんて根こそぎ刈りつくされた後だ。
それでも私が時々ここに通うのは、布さえあればテント代わりに使えるから。日陰無しで何日も長時間も日向にいるのは砂漠では自殺行為だろう。残されている鉄骨を使い、ロープと布さえあればすぐに拠点が完成する。
ちょうど4日前に近くのオアシスで飛竜の目撃情報があったことで、探索者はみなそちらに行っているみたい。まあ大勢で押しかけたところで竜は逃げてしまうだろうし、鱗なんて落ちてても競争率が高いし、なによりパニックを起こした他の魔獣で危険だ。そういうときは竜がその前後で休憩してそうな場所を探索すれば、ライバルもいないし、竜に怯えて逃げた魔獣もいないし安全。
こんな知識もアイツから教わったから本当は使いたくなんてないけど、背に腹は変えられない。それにもう私の身体に染み付いている。だから今はもう私自身の知識と言っていいよね?
今回の探索は、休憩のときに鉄骨に擦れて剥がれ落ちる竜の鱗が狙い。
竜の鱗は軽さと頑丈さが特徴。大きいと騎士団の大盾なんかにも使われるからできるだけ大きいのが欲しかったんだけど…。
そう簡単には手に入らないよね。基本は数年周期で剥がれ落ちる。剥がれる頃にはその下には小さくも綺麗な鱗がもう生えている。頻繁に生え変わるわりに希少なのは、剥がれそうになると痒くて、巣で竜が自分で剥がしてしまうかららしい。かさぶたかよ。
昨日の探索初日に1枚比較的綺麗なものを見つけたけれど、これじゃあギリギリ片手用の盾くらいかなあ。せいぜい防具に使えそうな少し脆くなった2枚と合わせて鱗は計3枚。だいたい1週間分の食費と思えば悪くはないかな。
今回のところはもう他に目ぼしいものなんてないだろう。こんな砂漠じゃ魔石や高価な金属なんてどうせあるわけない。荷造りしてそろそろアサドの村に歩き出そう。
今から向かえば途中で魔獣が狩れるかもしれないし、なにより少しいい宿も取れるだろう。きっと飛竜目当ての他の探索者も今日か明日にはぼちぼちアサドの町に帰り始めるはず。宿もカラズへの定期便も早めに予約しないと。
どんな感想でもぜひ!