第七話:暴行事件編 (終編:First Kiss On Bed)
次話から新章に入ると思います。
「……賀くん。矢賀くん……」
(あれ……?誰かが……俺の名前を呼んでいる……?)
声の主を確かめようと、俺はゆっくりと目を開けた。すると、真っ白い天井が目に入った。どうやら、屋内らしい。
「……?ここ……、病院……?」
「……!矢賀くん!?矢賀くん!?気が付いたの!?」
「……ん?……佐沢?」
「うん!そうだよ!」
そう返事を聞いた瞬間、今までの出来事が頭の中を駆け巡った。そう、俺は佐沢が襲われている所に飛び込んで……
「……!そうだ!佐沢、大丈夫なのか!?それと、男は!?あっ、痛っ……」
急にガバッと起き上がったため、腹に痛みが走った。
「矢賀くん駄目だよ!急に起き上がったら。うん。私は大丈夫だよ。男の人も、あの後私が警察に電話して、捕まえてもらったよ……」
「そっか……。よかった……」
俺は安心して力が抜けたのか、ベットに倒れ込んだ。
「……。ふぇっ…、えっ…。ご、ごめん…ね…っ」
「お、おい佐沢、何で泣いてるんだよ?」
佐沢は急に、ボロボロと大粒の涙を流して泣き出した。
「私の……、せいで……矢賀……くんに……大怪我させちゃって……」
佐沢は、自責の念からか、更に激しく泣き出した。俺は目の前で女の子が泣いてることにオロオロし始めた。
(目の前で女の子が泣いてる。俺は一体どうすれば……。うん。俺に出来る事はこれしかない…!)
俺は再びゆっくりと起き上がり、ベットの横で座って泣いている佐沢の体を引き寄せ、抱きしめた。
「矢賀……くん……?」
「お前のせいじゃねえって。だから泣くなよ。な?」
俺にはこれしか言えなかった。
「ふぇっえっ…、えっ、うぇーん!!」
それから佐沢は数十分泣き続けた。
「落ち着いたか……?」
「うん。ありがと」
佐沢は、泣き過ぎたためか、目が真っ赤になっていたが、顔は笑っている。うん。大丈夫だ。俺は佐沢を抱きしめたまま、笑い返し……?うわぉ!俺さっきから佐沢の事ずっと抱きしめたままじゃん!!俺はとっさに佐沢の体を離した。
「ごめんごめん。さっきからずっと抱きしめたままだった。ごめん」
「え……?あっ……!うん……」
お互い、恥ずかしさの余り顔を背けてしまった。
しばらくの沈黙の後、不意に佐沢が声を掛けてきた。
「ねえ矢賀くん……」
「ん?」
俺は、声に反応して佐沢の方に振り向いた。
チュッ…
唇に柔らかく温かいものが触れた。佐沢の顔が俺に触れるくらい近くにあった。
これが俺のファーストキスだった。
佐沢は一旦顔を離し、今度は抱きついてきた。そして、俺の耳に囁いた。
「大好き……」
最近、多少、話の創作に悩むことがあります。みなさん、是非、感想やアドバイス、希望などをお寄せ下さい。一つ一つ丁寧に御返事させて頂きます。よろしくお願いしますm(__)m