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超ショートストーリー 水の神

読み返しも手直しもしていない、お皿を洗ってるときにふと思い付いたもの

それは急に現れた。

青い髪、若干透ける体、女性体型で服は着ていない。よく見ると乳首も下の割れ目もないマネキンのような体のなにか。

俺が皿洗いをしているのをずっと眺めている、というより出しっぱなしの水をを見つめているようだ。

喋りかけない方がいい、俺は霊など信じる方ではないがこの時だけは信じてやってもいいかもしれない。

しかしそうもいかないことが起きた、霊なのかもわからないそれが話しかけてきたのだ。


「ねぇ、それ勿体ないとおもわないの? 恵みの水をそんなに粗末に扱って……」

やばい! 聞こえてないふり見えないふりをした方がいい、そう思い皿洗いを続ける。

「ねぇ、そんなに綺麗な水を無駄に流してはダメよ……」

正直いうと恐い、しかし見えてることがわかったら霊は調子に乗ると聞いたことがある。しかし、次の言葉で皿洗いを中断してしまった。

「……見えてることも聞こえてることもわかってるのよ?」

そして俺はとっさに思ったことを口にした。

「水は無駄になんかしていない!!!」

結構大きい声を出した。霊は怒鳴ると消えるとも聞いたことがあるからだ。しかし、目の前にいるそれは消えていないだけではなく言い返してきた。

「でもずっと綺麗な水が出しっぱなし、見ているかぎり何にも使われてないわ」

確かにそうだが水道料金を払っているんだからいいじゃないか──なんて言葉は通じなさそうに感じた。

「……これは水のために出しっぱなしにしている」

「どういうこと?」

「この水は下水道を通り、使える水にする浄化施設へと運ばれる……しかし汚い水だけを下水道に流していたら汚れがつまってしまい流れも悪くなる、わかるか?」

「うーん……」

「まずお前は誰なんだ?」

「水の神よ」

「……そうか水の神、ならこの汚れた水ふたつを同時に浄化してみてくれ」

そう言って俺は醤油をそのまま注いだコップと、水で薄めた醤油をコップにいれて差し出す。すると水の神は両方のコップに指を入れ浄化を始めた。そして水で薄めた醤油が水へと浄化された瞬間にストップをかける。

「はい、浄化をやめてくれ」

「でもまだこっちの浄化が──」

「いいや、それでいい」

「いいって?」

「こっちの汚れが薄い方は短い時間で浄化ができた、しかし汚れの濃い方はまだ時間がかかりそうだな」

「うん」

「これでわかるだろ? 俺は水を出しっぱなしにして汚れを薄くしているんだ、浄化施設に送られる水は汚れていないほど簡単に浄化ができる」

「じゃあ本当に水のために水を無駄に出しっぱなしに……」

「そうだ、このコップの汚れが残った分は浄化施設の負担となって多くの電力が消費されてしまう……その負担を初期の段階で解決しようとしているのが俺だ、わかったか?」

「…………」

「どうした?」

俺はテキトウに作った話がバレたのかと思い唾を飲む。

「今、何て言った……?」

何故かはわからないが水の神は小刻みに震えている。

「えーっと、負担を初期の段階で──」

「ちがう、その前!」

「浄化施設の負担? 多くの電力が──」

「で、電力?! 電気のことよね?!」

「そうだけど」

「水の汚れが濃いと電気の負担になるの?! そんな世界なのここは!?」

「そ、そうかな……急にどうしたんだ?」

「こうしちゃいられない!!」

そういうと水の神は家の至るところの蛇口から水を流し始め、俺の力では止めるに止められず、今月の水道代が20000円を超えてしまった。



続、電気の神

電気の神は気が向いたら

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