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深泥池で何が起きたのか タクシー幽霊事件の真実

 日本における定番怪談「タクシー幽霊」の元ネタになった新聞記事を転載します。

「出典を明らかにすれば、著作者の了解を得なくとも引用できる」という原則に基づきました。問題がある場合はお知らせください。速攻で削除します。


「朝日新聞 一九六九年十月七日 京都地方版」より引用

ただし当時三種類の「版」があり、この記事が掲載されたのはそのうちの一版だけです。


文中の「上鴨署」は誤植ではありません。この表記が正しいのであしからず。もっとも現在「上鴨署」は存在しません。記事においてタクシー運転手の名前は実名でしたが、ここではAさんとさせていただきます。



「車から乗客消えた」

 パトカーも“怪談”めいた届出に汗だく


 六日未明京都市内で、タクシーの乗客が、走行中に突然消えてしまったー。運転手は、乗せたつもりで乗せなかったり、途中で振落としたのでない、といい、調べた上鴨署でも、季節はずれのミステリーに、首をかしげるばかり。

 京都市東山区山科四ノ宮泓町、京和タクシーのA運転手(二九)が六日午前一時半ごろ、同市左京区東大路通近衛下ルの京大医学部前で、三人の客を降ろしたあと止まって日報を書込んでいた。すると、助手席の半開きの窓をノックする音。「行っていただけますか」ー 四十前後の女性で、洗い髪が肩まで無造作にたれていた。

 A運転手はこの客を乗せて、走り出してから行先を聞いた。「深泥池みどろがいけの横まで」と小さい声でいった。バックミラーでみたら、ほおがこけ、いかにも病人風。気持が悪く、その後は一度もしゃべらなかったが、気になり左右の確認のさいに二度、バックミラーではっきりと確かめた。

 十分後、深泥池に着いた。「お客さん、どこまで行きますねん」A運転手が聞いたが返事がない。ふり返ると姿がなかった。そればかりか、客がすわっていた向かって左ドア側の座席が茶色ぽい液体でべっとりとぬれていた。二百㍍前あたりで、バックミラーに確かに写っていた。「しまった。ふり落とした」と思ったという。ここまでがAさんの話。

 このあとA運転手は、ちょうど通りかかった乗用車を止めて上鴨署に連絡してもらい、パトカー四台が約一時間付近を捜したが、それらしい女性は見当らなかった。この出来事を一層怪談めかしたことには、深泥池の“現場”から五十㍍先に京大医学部解剖学教室のトラックが人気もなく止まっているのをパトカーが見つけてきたのだ。客を乗せたところも同医学部前、と話がそろいすぎた…。

 A運転手がこの女性を乗せて走った五㌔の間の川端、下鴨、上鴨三署管内で五日夜から六日にかけてひき逃げらしい事故は一件もない。A運転手もいう。「スピードを出していたが、自動ドアだから自分で開けることも出来ないし、振落とすこともない。錯覚ではない」ー



 この記事の文章は所々おかしい。


「パトカーも“怪談”めいた届出に汗だく」

 警官ではなくパトカーが汗だく? なぜ擬人化する?


「この出来事を一層怪談めかしたことには」

 当時はこのような言い回しが普通だったのだろうか。


「京大医学部解剖学教室のトラックが人気もなく止まっているのをパトカーが見つけてきたのだ」

 ここでも見つけたのは警官ではなくパトカーになっている。また「見つけてきたのだ」は良いけどそのあとがない。見つけてきてどうしたのだ? 取材しなかったのか? 


「A運転手」といってみたり「Aさん」といってみたり、「振落とした」といってみたり「ふり落とした」といってみたり。統一されていないのも不思議。句点もなんかおかしいような気がする。校正が行われていない?


 正直ちょっと、胡散臭いですね。

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