紅魔館に降り立ったのは狂気
―紅魔館
???「うわっ!何あれ!随分と赤い館ねえ」
金髪でメイド服を着用した少女が紅魔館を見ながら呟いた。
???「ほんとね。まあでも、立派な館じゃないかしら?」
今度話したのは、同じく金髪で白い服を着用し、背中に白い翼を持った少女である。
白い服の少女が話した。
???「あそこにあいつの事を知ってるやつがいればいいんだけど…」
そういうと二人は紅魔館の門まで歩いていった。しかしそこには一人の門番が立っていた。紅美鈴である。
美鈴「…んー、あれっ!?どなた様でしょうか?」
???「今あんた寝てたでしょ」
メイド服の少女が呟いた。
美鈴「あー、すみません… 寝るのが日課というかそうでないというか…」
???「まあいいわ。私は夢月よ。」
メイド服の少女が自己紹介した。
???「私は夢月の姉、幻月よ。」
今度は白い服の少女が自己紹介した。
美鈴「初めまして。私は紅美鈴。この館の門を守ってるの。」
幻月「じゃあ美鈴さん。幽香というやつを知りませんか?」
美鈴は首をかしげた。
美鈴「幽香?どこかで聞いた名前ですねえ。咲夜さんなら知ってるかも…」
夢月「その咲夜とかいう人は今どこにいるの?」
美鈴「咲夜さんはこの館のメイド長ですよ。多分今は館にいると思います。」
幻月「そいつに聞けばいいのね。よーし!」
幻月は右腕を伸ばし、手のひらを美鈴に向けた。
美鈴「え?いったい何を?」
幻月「マスタースパーク!!」
幻月の手のひらから巨大な光線が放たれた。光線は美鈴を巻き込みながら紅魔館の門をぶち破った。
夢月「あら?あの門番避けなかったわよ。しかも地面でのびてるし…」
幻月「避けられなかったんじゃない?あいつからはたいした力も感じられなかったし… 気にせず進みましょ。」
二人は壊れた門をくぐり、紅魔館の入り口まで歩みを進めた。と、その時上から声がした。
???「待ちなさい。あなた達。」
二人は上を見上げた。屋根の上に銀色の髪のメイド服を着た者が立っていた。手にはナイフを持っている。夢月がそいつに話しかけた。
夢月「あ、人がいた。私たち咲夜というやつに用があるんだけどあなた知らない?」
???「咲夜っていうのは私のことよ。私に何か用かしら?」
幻月「あんたが咲夜なのね。じゃあ聞くけど幽香っていうやつを知らない?そこの門番があんたなら知ってるって言ってたの。」
咲夜は二人をにらめつけながら答えた。
咲夜「人に者を尋ねるときはそれなりの態度で来るものよ。少なくとも人の家の門と門番を吹き飛ばして来たからには歓迎するわけにはいかないわ」
夢月はため息をついた。
夢月「ほらー!姉さんがあんなことするから面倒なことになっちゃったじゃない」
幻月「何よー!ちょっとはりきっただけで夢月まで怒らないでよ!次から気をつけるからさ」
なんでそっちで喧嘩してんのよ!咲夜はナイフを構えた。
咲夜「覚悟はできてるんでしょうね?」
幻月「あー、分かった分かった。覚悟するから幽香の居場所だけ教えて」
咲夜はイライラしながら答えた。
咲夜「風見幽香なら太陽の畑に居るわ。妖怪の山の反対方向よ。」
夢月「なんだ、知ってたんだ。んじゃ、後は姉さんに任せたわ。」
幻月「って、何で私なのよ。」
咲夜「さーて、門を壊した報いを受けてもらうわ。後でお嬢様に怒られるのは私なんですからね」
幻月「ふん!あなたなんて片目で充分よ」
幻月は片目を閉じた。
咲夜「今に後悔するわよ。」
そういうと咲夜はナイフを幻月に向けて投げた。幻月はそれを軽々とかわす。今度は幻月が白い弾を放った。物凄い速さだ。咲夜はなんとかかわした。咲夜の額から汗がふきでてきた。…なんて速さなの、今まで見てきたどんな弾よりも格違いに速いわ…咲夜がそう思っている間にも幻月の高速弾幕は続いた。咲夜はそれをなんとかかわしていく。
幻月「へえー!結構やるじゃない!」
咲夜は始めてみる高速弾幕に振り回され、息が上がっていた。
咲夜「はぁ…はあ…くっ…幻符『殺人ドール』!!」
咲夜は得意技である殺人ドールを繰り出した。時間を止め、ナイフの飛ぶ方向を操作し、再び時を動かす。幻月は突如、飛ぶ方向が変わったナイフに不意をつかれとっさに大量の白い弾を放った。白い弾の勢いに押され、殺人ドールが跳ね返された。しかしそのおかげで一瞬幻月に隙ができた。
咲夜「チャンス!幻世『ザ・ワールド』!」
咲夜は時を止め、幻月の周りにナイフをばらまいた。再び時がうごきだしたとき、幻月に逃げ場は無かった。幻月は慌てて新たな弾を放ち、ナイフのほとんどを処理したが、落としきれなかったナイフに被弾した。
幻月「ぐぅっ… 」
今度は幻月がたくさんの白い弾を列にして放った。咲夜は時を止め弾筋を観察した。このままいけば自分と幻月の間に壁ができてしまう。幻月はその壁を使って体制を立て直すに違いない。今体制を立て直されるわけにはいかない!
咲夜「そうはさせるものですか!」
咲夜は時を止め、幻月の真正面に陣取った。ナイフを幻月の周りに再びばらまいた。咲夜は時の流れをもとに戻した。縦方向に進む白い弾の列は咲夜と幻月の両脇を流れ、お互い真っ直ぐ通る廊下で向かい合うように逃げ場がなかった。幻月にナイフが襲いかかる。さらに咲夜はナイフを投げて、追い討ちをかけた。
幻月「マスタースパーク!!」
しまった!!そう思った時にはもう遅かった。逃げ場のない直線を巨大な光線がほとばしった。咲夜のナイフは全て蹴散らされ、光線は咲夜に直撃した。 咲夜はそのまま地面に落下し気を失った。