あまりに突然すぎて…
ここ幻想郷の端に位置する博麗神社では、今日も巫女である博麗霊夢が庭を掃除していた。
霊夢「はぁ~…今日も参拝客は来なさそうね」
ため息混じりにそう呟くと霊夢は空を見上げた。さっきまで快晴だった空に分厚い雲が流れ込んで来ている。
霊夢「一雨来そうね…早く神社に戻ったほうがいいかも」
霊夢はもう一度空を見上げた。なんだかあの雲、嫌な予感がする。そういえば私の予感っていつも当たるのよね…霊夢は急いで頭からその考えを振り払った。また面倒ごとに巻き込まれるなんてごめんよ。霊夢は急ぎ足で神社に戻ろうとした。
その時である!凄まじい雷鳴とともに辺りが一瞬眩しい光に包まれた。
霊夢「…何!?」
霊夢はしばらく目が開けられなかった。目を開けてみると、晴れ渡った空が目に入ってきた。どうやら衝撃で吹き飛ばされたようだ。
霊夢「…っ痛、まったく…何だってのよ…」
痛む頭をさすりながらゆっくりと立ち上がった。
今のは落雷かしら… よく生きてたものね。それとももう死んじゃってる?
まだはっきりしない頭でぼんやりと考えていた。少し先に家のような物がある。神社の敷地内にあんなのあったかしら…
急に頭がはっきりしてきた。いや!あんなのは無かった!急に変な家が現れたのだ!でも、どこかで見たことがあるような…
とりあえず霊夢はその家に行ってみた。扉の上に看板がかかっている。どうやら店のようだ。看板には『ふわふわエレン魔法のお店』と記されている。ふわふわエレン?
霊夢は扉をノックした。
???「はあ~い。今開けるからね~」
向こうから声が聞こえ、扉が開いた。
???「いらっしゃい!」
金髪で肩にネコを乗せたニコニコした少女が立っていた。
霊夢「あ!あなたって確か…エレンだっけ?」
エレン「そうよ!よく知ってるわね~!何か買いに来たの?」
霊夢「いや、そういう訳じゃなくて…」
霊夢は後退りした。どうやら向こうは自分のことを忘れてしまっているようだ。
エレン「じゃあ遊びに来てくれたの?早速勝負しましょ♪」
霊夢「くっ…『夢想封印』!!」
霊夢はエレンが構えをとった瞬間にスペルカードを唱えた。いくつもの光の玉がエレンに突進した。その隙に霊夢は博麗神社に足早に向かった。
エレン「あやや…逃げられちゃったね!」
霊夢は急いで神社に向かっていた。さっきから神社の中から変な音がするのだ。まずはそれを片付けなければいけない。
霊夢「…誰!?」
???「きゃははは!!お久しぶりね、古風な巫女さん!」
そういって現れたのは、金髪の上から麦わら帽子を被り、メイド服を着用した騒霊…
霊夢「…げっ!あなたは…」
???「覚えてくれてたの?そうよ、私はカナ・アナベラルよ!」
霊夢は毎晩うるさすぎて眠れなかったあの日々を忘れることは無かった。カナはしばらくの間、博麗神社に住んでいたことがあり、しばし霊夢を苦しめていたのだ。
カナ「なぜか、また住むことになったからよろしくね!」
霊夢「そんなことさせるわけないでしょ!勝負よ!」
霊夢はお札を構えた。
カナ「勝てるかしら?」
カナは腕を交差させ、戦闘体制に入った。