表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人形

作者: 蒼姫潮音

私は愛を知らなかった。

愛を知れなかった。



幼いときに親を殺された。

その犯人に育てられた。

いや、飼われた。


「今更傷が増えたって何も感じないだろ。大人しく啼いてればいい。人形。」


感情というものを捨てられた。

名前も捨てられた。

心も捨てられた。


そして、壊された。

そして、捨てられた。




それから幾日。私は街を彷徨っていた。

そんなある日、奴隷になった。

私は買われた。


扱いがどうだったかなんて知らない。

私は心をもたないから。



だけど、私は恋をした。

主人に恋をした。


主人は優しかった。

心が無くてもわかった。


そして、触れてしまった。その温もりに。



「綺麗だよ。ノア。 君は美しい。」



傷だらけの私にそう言ってくれた。

名前もくれた。

私は彼を受け入れてしまった。


私の体中の傷を撫でてくれた。

私の心の傷も。

舐めるように、溶かすように、治すように。



ある日私は胸の内を主人に伝えた。



「・・・ご主人様?」



主人は黙っていた。

何かを考えていた。


しばらくして、静かに私を抱きしめる。

アイツに穢された私を。


そして、









「っ!?」




















強烈な痛みが走った。

そして、強烈な眠気が襲って来た。

「奴隷の分際で。汚らわしい。スカー。」


私は「傷」と呼ばれていたのだ。もう一人の、いや、本当の彼に。








目が覚めた場所は拷問部屋だった。


「悪い子は躾けなければな。別にこれ以上傷が増えたって何も感じないだろ。大人しく啼けばいい。スカー。」




私の中で何かがはまっていった。

何かが重なった。


そうか。こいつも一緒か。

所詮世ノ中ナンテソンナモノ。


心の奥底から、何かが吹き出してきた。



気が付くと


















主人だった肉が部屋中に飛び散っていた。

ソイツにやられたのだろう。

私の服もボロボロで、傷が丸見えだ。



アイツにつけられた。

いや、違う。

人形として創られたときの縫い目が。


腐りかけた縫い目から蛆虫が湧いてきた。

そして、左手が落ちた。




ああ。思い出した。

私は、いろんな人の部品から生まれた人形(レプリカ)


幼い頃、家が焼けた。放火だった。

炎はそれほど大きくなかったが、煙が酷かった。

両親や姉達は煙によって死んだ。

私は生き残った。

身体は少し焼けてしまったが。


犯人は身寄りのなかった私を引き取り、手術した。

両親や姉達の身体で新しい私を作った。





私は縫い目を全て切り裂いた。

切り裂いて。切り裂いて。切リ裂イテ。







気が付いたら私は私を見下ろしていた。





別に今更何も感じない。

人形だから。

ってことで、とりあえず初投稿。


FC2にあげてるのをちょこっと編集した感じ。


うへー。日本語って難しいー。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ