第3章【中編】 セラフィネの報告:アラン視点
コンコンとドアがノックされ、セラフィネが入ってきた。
「リオネル師匠、お待たせしました。」
「セラちゃん、待っていたよ。」
「セラフィネ、色々頼んで申し訳なかった。あと、あの服もエマに似合っていた。
・・・・リオネルにも試験の準備やら受け入れの調整助かった。2人とも感謝する。」
「セラちゃん聞いた?聞いた?」
「えぇ。聞きましたとも。私生活の方のフォローはお任せくださいね」
「・・・・あぁ。頼む」
「いや~あのアランが、ものすごい追い上げをしたよね。
ここ数日で10年分くらいしゃべったんじゃない?」
「うるさい」
ここはリオネルにあたえられた部屋だ。
執務室兼研究室、といったところだろうか。
セラフィネはリオネルの見習いなのだ。
「アラン様。エマちゃん、とても素直で可愛らしい方ですね。
色々お聞きしておりましたので準備が出来て良かったです。」
ふふふっと笑いあうリオネルとセラフィネに居心地が悪くなる。
この師弟、見た目はとても知的で柔らかい印象があるのに、中身の軽薄さが一緒なのだ。
2人そろうと、とても話しにくい。
「それで、エマちゃんの様子は?」
「はい、今頃は疲れて眠っているかと思います。」
そこからセラフィネから見たエマの報告が始まった。
持ってきた荷物は着替えが数着のみであること、その着替えも、もとは男性物の服ではないかという話や、髪だけは複雑に結われていたり、刺繍が細かいことからかなりの可愛いもの好きだと思うという予測やら、男の自分には予想もしない報告まであったのには驚いた。
「アラン様から聞いていた通り、かなり自信が無いようですね。
でも、部屋に入ってすぐ、パっと自分の靴に浄化魔法をかけていました。
その手際、アラン様が見込むのも納得の早さでした。」
「私のお下がりだと言って渡したあの白い服も、最初はものすごく遠慮されたので、入塔式には白い服が決まりだと言って着させたので合わせてくださいね。」
「もう、あの服を着た時のエマちゃんの顔、お二人にもお見せしたかったです。
・・・いえ、やっぱりダメですね。
でもそれほど可愛らしく恥ずかしがったり、鏡の前でボーっとしたり、微笑ましくて。
私、今日からエマちゃんのお母さんになりますね。」
・・・・もう報告は終わりでいいだろうか。
両親を説得しているとき、兄からは「エマじゃなくて俺に試験を受けさせろ」と言われ、両親もそれを後押ししてきたときの怒りはまだ残っている。
それから、エマが着替えて出てきた時の、年齢相応の可愛さを思い出して、少しだけ心が温かくなる。
リオネルたちにからかわれたくないので言わないが、今日からまた新たなスタートだ。
アランは「エマを守る」という決意を新たにした。




